『矯正治療を終えたのに、横顔を見ると口元がまだ出ている』
『笑うと歯茎が見えるうえに、歯茎の表面がもりっと膨らんでいる』
『ガミースマイルと口ゴボ、どちらから治せばいいのかわからない』
このようなお悩みを抱えて当院へご相談に来られる方は少なくありません。ガミースマイルと口ゴボで横顔の口元が出て見える原因は、前歯の傾きだけではありません。歯茎の中の骨が膨らんだ「骨隆起」や、歯茎に覆われて歯が短く見えていることが重なっている場合も多く、そのときは歯並びを整えるだけでは口元の膨らみや歯茎の見え方が残ってしまいます。
大阪・天王寺区でガミースマイル治療と骨隆起切除に対応するヤスデンタルクリニックでは、矯正治療後に残った口ゴボやガミースマイルのご相談にも多く対応しております。骨隆起切除と歯冠長延長術を組み合わせた治療は、どこの歯科医院でも行えるというわけではありませんが、当院では院長・松井泰隆が専門的に対応しておりますのでご安心ください。まずは一度、当院の症例をご覧いただければ、横顔の変化を一目でご理解いただけるかと思います。
ガミースマイルと口ゴボが重なると、横顔の口元はより出て見えます
ガミースマイルと口ゴボは、それぞれ別の症状と思われがちです。
しかし、実際には同じ原因が両方に関係し、ガミースマイルと口ゴボが同時に現れている方も少なくありません。
「歯並びはきれいになったのに、横顔を見ると口元全体がもりっとしている」「笑ったときの歯茎と、横から見た口元の出っ張りの両方が気になる」という方は、前歯の傾きだけでなく、上あごの骨格や歯を支えている骨の形が関係している可能性があります。

口ゴボの方は、骨格的に上あご全体が前方へ出ている場合があります。
上あごが前に出ていると、その上にある前歯や歯茎も前方に位置するため、横顔では口元全体が突出して見えます。
さらに、前方へ出た歯や歯茎によって上唇が押し上げられ、笑ったときに上唇がめくれやすくなるため、ガミースマイルにもなりやすくなります。
歯茎の中にある骨隆起が前方へ大きく発育している場合も同様です。
特に、上あごの前歯や犬歯の上にある骨隆起が前方へ張り出していると、鼻の下から口元にかけて、歯茎ごと、もりっと膨らんで見えます。
骨隆起により前方へ張り出した歯茎が上唇をめくれやすくなるため、歯茎の見える量が増え、ガミースマイルがより目立つようになります。
つまり、前方へ発育した骨隆起は、ガミースマイルと口ゴボの両方の原因になります。
このように、横顔の口元の出っ張りや笑ったときの歯茎の見え方は、歯並びだけで決まるものではありません。
前歯の傾きに加えて、上あごの骨格、骨隆起の大きさや発育方向、歯茎の高さ、歯の見えている長さなどが複雑に関係しています。
どの原因がどの程度関係しているのかを見極めることで、矯正治療を優先するのか、骨隆起切除や歯冠長延長術を行うのか、治療の順番や組み合わせを判断できるようになります。
口ゴボとは|Eラインで確認できる横顔の口元の出っ張り

口ゴボとは、横から顔を見たときに、唇やその周囲が前方へ出て見える状態のことです。
前歯だけが出ているというよりも、鼻の下から唇にかけて口元全体がもりっと膨らんで見えるのが特徴です。
口ゴボかどうかを確認する目安の一つに「Eライン」があります。
Eラインとは、横顔を見たときの鼻先とあご先を結んだ直線のことです。
このラインよりも唇が前方へ大きく出ている場合、口ゴボの可能性があります。
ご自身で確認するときは、横を向いた状態で、鼻先とあご先を結ぶように指や定規をそっと当ててみてください。
鼻先とあご先よりも先に唇が強く当たる場合や、横から撮影した写真で唇がEラインより前に出ている場合は、口元が突出している状態と考えられます。
ただし、「口ゴボ」という言葉を知らずに、長年口元の見え方に悩んでいる方も少なくありません。当院へ来られる方からも、次のようなお悩みをよく伺います。
「横顔を見ると、口元だけが前に出ている」
「鼻の下から口元にかけてもりもりしている」
「歯だけではなく、歯茎ごと前に出ているように見える」
「口を閉じると、あごに力が入って梅干しのようなしわができる」
このような口元の突出感は、前歯の傾きだけが原因とは限りません。
上あごの骨格そのものが前に出ている場合や、歯茎の中にある骨隆起が前方へ発育している場合もあります。
Eラインは口元の出っ張りをご自身で確認する目安になりますが、治療方法まで判断できるものではありません。
矯正治療で歯を後ろへ下げるべきなのか、骨隆起の膨らみを整える必要があるのかを判断するには、歯・歯茎・骨格を分けて診断することが大切です。
口ゴボがあるとガミースマイルも目立ちやすい理由
口ゴボとガミースマイルが重なりやすいのは、前方へ出た上あごや前歯によって、上唇が押し上げられるためです。
骨格的な口ゴボでは、上顎骨が前方へ出るのに伴い、上あごの前歯や歯茎も一緒に前方へ位置します。すると、上唇は前方へ張り出した歯や歯茎の上に乗り上げるような状態になり、内側から押し上げられます。

上顎骨が前に出れば出るほど、上唇は前方に押し出され、上方向へ跳ね上げられるように徐々にめくれやすくなります。
そのため、何もしていない状態でも上下の唇を閉じにくくなり、口を閉じようとすると唇やあごに力が入りやすくなります。
この状態で笑うと、もともと押し上げられている上唇が、笑顔をつくる筋肉の働きによってさらに上へ持ち上がります。
一方、上顎骨とともに歯茎自体も前方へ出ているため、上唇に隠れにくい位置にあります。
その結果、笑ったときに歯茎が大きく露出し、ガミースマイルが目立つようになります。
歯を支える骨や骨隆起が前方へ大きく発育している場合も、同じようなことが起こります。
骨の膨らみによって上唇が押し上げられるだけでなく、笑ったときに上唇が膨らみに引っかかり、歯茎がさらに見えやすくなるのです。
このように、口ゴボは単に横顔の口元が前へ出て見えるだけではありません。
上唇の位置や動きにも影響するため、ガミースマイルを強調する原因にもなります。
反対に、前歯や歯を支える骨の位置を後ろへ下げ、口元の突出感が改善すると、上唇を押し上げていた物が無くなることで、上唇が本来の位置へ収まりやすくなり、笑ったときに歯茎が見える量も少なくなることがあります。
つまり、口ゴボの原因を改善することで、横顔だけでなくガミースマイルも同時に目立たなくなる場合があります。
横顔の口元が出て見える原因は「歯」「骨隆起」「骨格」の3つ
横顔の口元が出て見える原因は、大きく次の3つに分けられます。
①前歯が前方へ傾くことで唇が押し出される「歯」の問題です。
②歯茎の中の骨が前方へ膨らんでいる「骨隆起」の問題です。
③上あごや下あごそのものが前方に位置している「骨格」の問題です。
どれが原因なのかによって、必要な治療は異なります。
歯の傾きが原因であれば矯正治療、骨隆起が原因であれば骨隆起切除、あごの骨格が原因であれば外科的な治療が必要になります。
また、実際には「前歯も前に傾いており、その上の骨隆起も大きい」というように、複数の原因が重なっている方も少なくありません。
原因を一つだけと決めつけて治療すると、歯並びは整っても口元の膨らみが残ってしまうことがあります。
大切なのは、口元を前へ押し出しているものが「歯」「骨隆起」「骨格」のどれなのか、それぞれがどの程度関係しているのかを見極めることです。ここからは、3つの原因を一つずつ詳しく解説します。
①前歯が前に傾いている|歯の位置による口ゴボ

前歯が前方へ傾いていると、その歯に押されて唇も前へ出るため、横顔の口元が膨らんで見えます。
上の前歯が大きく傾いていれば上唇が、上下の前歯がともに傾いていれば上下の唇が押し出され、口元全体がもりっとした印象になります。
前歯が少し前に傾いている程度であれば、必ずしも口ゴボにはなりません。
しかし、傾きが強くなるほど唇を内側から押し出す力も大きくなり、口元の突出感が目立つようになります。口を自然に閉じにくい、口を閉じるとあごに力が入るという方もいます。
このタイプの口ゴボは、矯正治療で前歯の傾きを整え、歯を後方へ動かすことで口元が下がりやすいのが特徴です。
前歯による唇の押し出しが少なくなるため、横顔のラインも整いやすくなります。
ただし、前歯が大きく前へ傾いている方では、歯だけでなく、上あごや下あごの骨格そのものが前方へ出ている場合も少なくありません。
歯の傾きと骨格的な原因が重なっている場合、前歯を後ろへ動かすだけでは、口元の突出感が十分に改善しないことがあります。
歯の傾きによる口ゴボなのか、あごの骨格による口ゴボなのかを、見た目だけで正確に区別することはできません。
そのため、詳しく調べる際には、横顔のレントゲン写真である「セファログラム」を撮影し、前歯の傾斜角や上あご・下あごの位置を数値で分析します。
セファロ分析を行うことで、口元を押し出している主な原因が歯なのか骨格なのか、矯正治療でどの程度まで横顔の変化を期待できるのかを判断しやすくなります。
②歯茎の中の骨が膨らんでいる|骨隆起による口ゴボ
骨隆起とは、歯茎の下にある骨の一部が過剰に発育し、硬く盛り上がった状態です。
見た目には歯茎そのものがもりもりと膨らんでいるように見えますが、実際に膨らんでいるのは歯茎ではなく、その内側にある骨です。

骨隆起ができやすい場所は、上あごの犬歯の表側、上あごの真ん中にある口蓋正中部、下あごの歯の内側などです。ただし、すべての骨隆起が口ゴボの原因になるわけではありません。
口元の見た目に影響するのは、主に上あごの前歯や犬歯の表側にでき、前方へ大きく発育した骨隆起です。
この部分の骨が前へ張り出すと、その上を覆っている歯茎と上唇も一緒に前方へ押し出されます。
そのため、歯並びが整っていても、鼻の下から口元にかけてもりっと膨らみ、横顔では口ゴボのように見えることがあります。
実際に当院にも、「矯正治療で前歯は下がったのに、歯茎の上の膨らみが残っている」「歯ではなく、歯茎ごと前に出ているように見える」と相談に来られる方がいらっしゃいます。このようなケースでは、前歯の位置だけでなく、歯茎の中にある骨隆起の大きさや発育方向まで確認することが重要です。
骨隆起は歯ぎしり・食いしばりで大きくなることがあります
骨隆起は、歯ぎしりや食いしばりなどによって、歯やあごの骨に強い力が繰り返しかかることで形成されます。
噛む力の応力が集中する部分では、骨がその力に耐えようとして厚みを増し、新しい骨を形成します。
骨折しないように骨を太くしようとする、生体の自然な反応によるものです。
歯ぎしりや食いしばりが長期間続けば、それだけ歯や骨に強い力が繰り返しかかるため、骨隆起も時間をかけて徐々に大きく発育することがあります。
ただし、骨隆起自体は体に害を与えるものではありません。
骨隆起があるからといって、必ずしも切除する必要はなく、見た目や日常生活で困っていなければ、そのまま経過を見ても問題ありません。
これまで骨隆起切除が行われることが多かったのは、主に総入れ歯などの入れ歯を作る場合です。
骨隆起が入れ歯に当たると、痛みが出たり、入れ歯が浮いて安定しにくくなったりします。
このように、骨隆起が入れ歯の装着を妨げる場合には、必要に応じて骨の膨らみを切除する治療が一般的に行われてきました。
一方、近年は入れ歯のためではなく、口元の見た目を整えることを目的に骨隆起切除を希望される方が増えています。
当院にも、「歯茎のもりもりした膨らみをなくしたい」「鼻の下から口元にかけての膨らみをすっきりさせたい」と相談に来られる方が多くいらっしゃいます。
特に、上あごの前歯や犬歯の表側に骨隆起が大きく発育すると、口元が前へ出て見えるだけではありません。
骨隆起によって歯茎が前方へ張り出すため、笑ったときに歯茎が見えやすくなり、ガミースマイルの原因になります。
さらに、笑ったときに見える歯茎そのものが、骨隆起によってもりっと膨らんでいるため、ガミースマイルがより強調され、口元の審美性を損なうことがあります。
また、大きく発育した骨隆起は、歯茎の見た目だけでなく、笑ったときの上唇の動きにも影響することがあります。
骨隆起があると笑ったときに上唇が引っかかり、歯茎がより目立ちます
笑うとき、上唇は前歯や歯茎の表面を滑るように上へ動きます。
しかし、上あごの前歯や犬歯の表側に大きな骨隆起があると、歯茎の表面に硬い段差が生じます。
上唇がその膨らみに乗り上げて引っかかるため、自然に笑いにくくなったり、笑ったあとに上唇が下がりにくくなったりします。
当院にも、「笑うと上唇が歯茎の上で止まってしまう」「上唇が持ち上がったまま戻りにくい」「口元に引っかかるような違和感があり、自然に笑えない」と相談に来られる方がいらっしゃいます。

口腔内写真を見ると、治療前は上あごの前歯から犬歯にかけて、歯茎がもりもりと膨らんでいます。
これは歯茎が腫れているのではなく、その内側にある骨隆起によって歯茎が前方へ押し出されている状態です。
骨隆起は硬い骨であるため、上唇に押されてもへこみません。
そのため、笑ったときに上唇が膨らみを乗り越えるように大きく持ち上がり、歯茎が広く露出します。
さらに、露出した歯茎自体も骨隆起によって立体的に膨らんでいるため、ガミースマイルがより強調されて見えてしまいます。

この口元の写真では、治療前は上唇が骨隆起の膨らみに引っかかり、上方へ持ち上げられています。
患者さまは口ゴボに加えて、上唇が引っかかって自然に笑えないことにも悩んでおられました。
骨隆起切除によって前方へ張り出した骨を整えると、上唇が歯茎の表面を滑らかに動けるようになります。
この症例でも、治療後は上唇の引っかかりがなくなり、自然でスムーズな笑顔になりました。
また、歯茎の膨らみがなだらかになったことで、口ゴボとガミースマイルの印象も改善しています。

骨隆起除去の手術中の写真です。
治療前は、前歯から犬歯にかけての骨が大きく前方へ張り出し、玉ねぎのように膨らんでいるのが分かります。
骨隆起を切除したあとは、前方への張り出しを抑えたなだらかな骨のラインに整えています。
この症例では、骨隆起切除と歯冠長延長術を同時に行っています。
骨隆起切除によって上唇の引っかかりと歯茎の膨らみを改善し、歯冠長延長術によって歯の見える長さと歯茎の高さを整えています。
口元の膨らみとガミースマイルの両方を改善するためには、歯茎だけでなく、その内側にある骨の形まで確認することが重要です。
③あごの骨格そのものが前に出ている|上下顎前突
アジア人に多い骨格の一つに「上下顎前突」があります。
これは、歯が埋まっている土台となる上顎骨と下顎骨そのものが前方へ出ている状態で、口元全体が膨らんで見える口ゴボの原因になります。
土台となる骨格が原因のため、突出の程度が大きい場合は、外科的矯正治療によってあごの骨を後方へ移動させる必要があります。
代表的な骨切り手術には、上あごの「Le FortⅠ型骨切り術」や、下あごの「SSRO(下顎枝矢状分割術)」などがあります。
インターネットやSNSで見かける、横顔が大きく変化したビフォーアフターの中には、このような骨切り手術を行っている症例も含まれています。
ここまで読むと、「骨格が原因なら、骨切り手術を受けるしかないのですか」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、骨格性の口ゴボだからといって、必ずしも手術が必要なわけではありません。
あまり広く知られていませんが、軽度から中程度の上下顎前突であれば、抜歯を伴う矯正治療だけで口ゴボを改善し、骨格を変えることもできるケースがあります。
抜歯によってつくったスペースを利用して上下の前歯を最大限後方へ動かすと、歯を支える土台の骨そのものも、その動きに合わせて変化し、上下の唇も後方へ下がります。

上記症例写真は、骨切り手術を行わず、抜歯矯正によって上下顎前突を改善した当院の症例です。
治療前は上下の唇が前方へ出ており、口元全体に強い突出感がありました。
そこで、抜歯したスペース(7.5mm)を使って前歯を最大限後方へ動かした結果、口元が大きく下がり、横顔がすっきりと整いました。
骨切り手術をせずに口元を改善できることは、患者さまにとって大きなメリットです。
ただし、すべての上下顎前突を抜歯矯正だけで改善できるわけではありません。
矯正治療でどこまで口元を下げられるのかは、セファログラムと呼ばれる横顔のX線写真を撮影し、骨格の位置や前歯の傾き、歯を動かせる範囲を数値で分析して判断します。
骨格性だからと最初から手術を決めるのではなく、まずは抜歯矯正で改善できる可能性があるかを詳しく診断することが大切です。
「矯正したのに口ゴボが治らない」と来院される方が多い理由
当院へ口ゴボのご相談に来られる方の多くは、すでに矯正治療を終えられています。
「歯並びはきれいになったのに、横顔の口元がまだ出ている」
「矯正をしても歯茎の上の膨らみが残っている」
「矯正してから骨の膨らみができた気がする」
このように、ご自身で調べてから来院される方も少なくありません。
ただし、口元の膨らみが残っているからといって、矯正治療そのものが失敗だったとは限りません。
口ゴボには、前歯の位置だけでなく、骨隆起やあごの骨格など、矯正治療では変えられない原因が関係していることがあるからです。
大切なのは、すぐに再矯正を考えるのではなく、口元に残っている膨らみの原因を見極めることです。
ここからは、矯正後も口ゴボやガミースマイルが残る理由について詳しく説明します。
矯正で動かせるのは歯で、骨隆起の膨らみはそのまま残ります
「抜歯矯正で前歯を下げたのに、口元のもりっとした感じが残っている」
「歯並びはきれいになったのに、笑うと歯茎の膨らみが目立つ」
実は、このようなお悩みで当院へ来られる方は少なくありません。
矯正治療で動かせるのは歯です。
前歯を後方へ下げることはできますが、歯茎の中にある骨隆起の膨らみが小さくなることはありません。そのため、歯並びが整っても、前方へ発育した骨隆起が残ることで、口ゴボが完全に改善しないことがあります。
さらに、前歯だけが後方へ下がると、残った骨隆起が相対的に前方へ張り出して見えることがあります。矯正前よりも歯茎の膨らみが強調され、「歯は下がったのに、かえって口元の違和感が気になる」と感じる方もいます。

上記写真の患者さまも、過去に抜歯矯正を受けていました。
歯並びはきれいに整っていましたが、上あごの前歯から犬歯にかけて大きな骨隆起が残り、歯も矯正治療の移動に伴い、歯茎に埋もれてしまって、本来より短く見えていました。
そのため、笑ったときに歯茎の膨らみが大きく露出し、口ゴボとガミースマイルの両方に悩んでおられました。
そこで、骨隆起切除と歯冠長延長術を同時に行いました。

口腔内写真を見ると、治療前に大きく張り出していた骨隆起がなだらかになり、短く見えていた歯も本来の長さに整っていることがわかります。

笑顔の写真でも、歯茎のもりもりとした膨らみがなくなり、ガミースマイルと口元の印象が改善しました。
この症例のように、矯正後に口ゴボが残っていても、もう一度歯を動かす必要があるとは限りません。
歯並びではなく骨隆起や歯茎が原因であれば、残っている原因に合わせた治療を行うことで、矯正後の口元をさらにきれいに整えることができます。
矯正で前歯を下げたあとにガミースマイルが目立つこともあります
抜歯矯正で前歯を大きく後方へ移動させる場合、主に2つの理由でガミースマイルが目立つことがあります。
1つ目は、前歯を後方へ動かす際に起こる「ボーイングエフェクト」です。
前歯を後ろへ引っ張ると、歯が後方へ移動するだけでなく、歯茎から出る方向へ挺出(下方に垂れ下がる)し、噛み合わせが深くなることがあります。
上の前歯が挺出すると、歯の位置とともに歯茎のラインも下方へ移動します。
その結果、笑ったときに見える歯茎が増え、ガミースマイルが目立つようになります。
これを防ぐには、歯を骨の方向へ押し込む「圧下」の力が必要です。

圧下は難しい歯の動きですが、アンカースクリューを活用することで、より確実にコントロールできます。
2つ目は、前歯を後方へ移動させたあと、歯茎が歯に覆い被さり、歯が短く見えるケースです。
特に、もともと歯茎が分厚い方に起こりやすい傾向があります。
歯茎が薄い方と比べて、分厚い歯茎は歯の移動に伴う流動性が悪く、移動した歯に沿って滑らかに変化しにくい特徴があります。
そのため、前歯を後方へ下げたあとも歯茎が歯の表面に残り、歯冠を覆うような状態になります。
歯茎から見えている歯の部分が短くなると、相対的に歯茎の面積が広くなります。
その結果、歯並びや口ゴボは改善しても、「矯正前より歯が短くなった」「笑うと歯茎が目立つようになった」と感じるようになります。
このように分厚い歯茎が歯を覆っている場合、歯の動かし方によって歯の長さや歯茎のラインを変えることはできません。
矯正治療をやり直したり、さらに歯を動かしたりしても、短く見える歯は改善しないのです。
この場合は、矯正治療が終わって歯の位置が決まったあとに、歯冠長延長術によって歯を覆っている歯茎と骨を整え、本来の歯の長さを出す必要があります。

この患者さまは、矯正治療後に歯が短くなってガミースマイルが気になるようになったとご相談に来られました。
まさに歯茎が分厚いために、歯茎が歯を覆ってしまい歯が短くなることでガミースマイルになった症例になります。

2〜3mm歯が短い状態だったため、歯冠長延長術で歯茎や歯槽骨を整えて、歯を長くしました。
治療後は歯が正常な長さに戻り、ガミースマイルが改善したのがわかります。
矯正後にガミースマイルが目立つようになったときは、挺出によって歯と歯茎が下がったのか、分厚い歯茎が歯を覆って短く見えているのかを見極めることが大切です。原因によって、矯正中に対応できるのか、矯正後に歯冠長延長術が必要になるのかが変わります。
>>矯正でガミースマイルが悪化する理由について詳しくはこちら
自分の口ゴボが骨隆起によるものか確認するポイント
自分の口ゴボが骨隆起によるものかを、見た目だけで判断するのは難しいと思います。
ただし、骨隆起があるかどうかは、次のポイントからある程度確認できます。
まず、鏡を見ながら上唇をめくり、上の前歯から犬歯にかけての歯茎を確認してみてください。
歯茎の上に、触ってもへこまない硬い膨らみがある場合は、その内側に骨隆起がある可能性があります。
特に確認していただきたいのが、左右の犬歯の上です。
この部分は骨隆起の好発部位で、丸く大きく盛り上がり、鼻の下から口元にかけてもりっと膨らんで見える場合は、前方へ発育した骨隆起が口ゴボに関係しているかもしれません。
また、笑ったときに上唇が歯茎の膨らみに引っかかる、笑ったあとに上唇が下がりにくい、膨らんだ歯茎がそのまま見えてしまう場合も、骨隆起の可能性があります。
ただし、硬い膨らみがあるからといって、必ず骨隆起が口ゴボの原因とは限りません。前歯の傾きや上あごの骨格そのものが前へ出ている可能性もあります。
セルフチェックはあくまで目安とし、「歯」「骨隆起」「骨格」のどれが口元を押し出しているのかは、CTなどのレントゲン検査を受けて、歯科医師の診断を受けることが重要です。
骨隆起切除と歯冠長延長術で、ガミースマイルと口ゴボを同時に治療できます
「歯が短く、笑うと歯茎が目立つ」「歯茎の上がもりっと膨らみ、口元が前へ出て見える」。
この2つのお悩みが重なっている方は少なくありません。
このような場合、歯茎だけを整えても骨隆起の膨らみが残り、骨隆起だけを切除しても短く見える歯やガミースマイルは改善しません。
当院では、歯冠長延長術によって歯を本来の長さに整えると同時に、口ゴボの原因となる骨隆起を切除できます。
矯正治療では変えられない「歯茎と骨の形」を一緒に整えることで、笑ったときのガミースマイルと横顔の口元を同時に改善する治療です。
ここからは、骨隆起切除と歯冠長延長術がそれぞれどのような治療なのか、詳しく説明します。
骨隆起切除|膨らんだ骨を本来のなだらかな形に整える処置
歯ぎしりや食いしばりによってできた骨隆起は、強い噛む力が続くことで徐々に大きくなり、骨の容積も増していきます。
一度できた骨隆起が自然に小さくなることはないため、膨らみを改善するには骨隆起切除が必要です。
骨隆起切除とは、前方へ大きく発育した骨を切除し、本来のなだらかな骨のラインに整える処置です。
必要な骨まで大きく削る手術ではなく、過剰に増えた部分だけを正常な骨のボリュームまで整えます。
「骨を削ると歯が弱くなるのではないか」
「将来、歯周病になりやすくならないか」と心配される方もいらっしゃいます。
しかし、歯を支えるために必要な骨は残し、余分に発育した骨隆起だけを切除するため、歯の寿命が短くなったり、将来的に歯周病になりやすくなったりすることはありません。
また、あごの骨を切って動かすような手術ではありません。
歯茎の下にある骨の表面を整える処置のため、術後の痛みや腫れも少なく、比較的ダウンタイムの短い治療です。

上記症例では、治療前は上あごの前歯から犬歯にかけて骨隆起が大きく発育し、歯茎全体がもりもりと膨らんでいました。
骨隆起切除後は、前方へ張り出していた骨がなだらかになり、歯茎のラインも自然に整っています。
横顔を比べても、治療前に目立っていた鼻の下から上唇にかけての膨らみが小さくなり、口元がすっきりしています。
このように骨隆起切除は、必要な骨を守りながら、ガミースマイルで目立つ歯茎の膨らみと、口ゴボの原因となる口元のボリュームを整える治療です。
歯冠長延長術|短く見える歯の長さと歯茎の高さを整える処置
ガミースマイル治療の一環として行われることが多い治療に「歯冠長延長術」があります。
歯冠長延長術は、歯茎が覆い被さることで短く見えている歯を、本来の長さに整える手術です。
余分な歯茎を切除するだけでなく、その内側にある骨も正常な高さに整えるため、治療後に歯茎が再び歯を覆うことがなく、後戻りも起こりません。
この手術で整えられるのは、歯の長さだけではありません。左右で異なる歯茎の高さをミリ単位以下の精度で揃えたり、歯茎の輪郭そのものをデザインしたりできます。
歯が短いと、歯の形が四角く見え、口元全体が重たい印象になりやすくなります。歯茎の輪郭をなだらかに整えることで、四角く見えていた歯を、自然で柔らかい丸みのある形に見せることも可能です。

上記症例の患者さまは、左右で歯の長さが異なり、笑ったときに片側の歯茎だけが大きく見えることを気にされていました。
治療前の写真では、向かって左側の歯が短く、歯茎の高さにも左右差があるため、笑顔全体が傾いて見えています。

歯冠長延長術によって、それぞれの歯の長さをミリ単位以下で調整し、左右の歯茎が対称に見えるよう整えました。
治療後は歯茎の高さが揃い、片側だけ目立っていたガミースマイルが改善しています。
歯の長さと輪郭が整ったことで、矯正治療を行わなくても、歯並びまできれいになったように見えます。
「歯茎を切った傷跡が残らないか」と心配される方も少なくありません。
当院では、切開する位置やメスを入れる角度、縫合する位置まで細かく調整し、髪の毛よりも細い糸を使って傷口を正確に合わせています。
そのため、治癒後に手術の傷跡が残ることはありません。
今回の症例でも歯茎に傷跡は全く残っておらず、ほかの歯科医師が見ても、歯冠長延長術を受けたかどうか分からないほど自然に治っています。
歯冠長延長術は、単に見える歯茎の量を減らすだけの治療ではありません。
歯の長さ、左右の歯茎の高さ、輪郭まで細かく整えることで、ガミースマイルを自然で調和の取れた笑顔へ改善する治療です。
骨隆起が大きすぎなければ、1回の手術で同時に行えます
「骨隆起切除と歯冠長延長術は、別々に手術を受ける必要がありますか」と心配される方もいらっしゃいます。
骨隆起が大きすぎず、安全に切除できる範囲であれば、歯冠長延長術と骨隆起切除を1回の手術で同時に行えます。
麻酔や手術、治癒期間を一度にまとめられるため、患者さまの身体的な負担や通院回数を抑えられることがメリットです。
手術時間は、2つの処置を同時に行っても60分程度です。
当院では、表面麻酔と局所麻酔を使用して痛みに配慮し、すべての手術で高倍率拡大鏡を使用しています。
傷口や骨の形を細かく確認しながら処置することで、腫れや痛みをできるだけ抑え、自然な仕上がりになるよう丁寧に整えます。
遠方から来院される方には、事前に口元のお写真をお送りいただき、電話でカウンセリングを行うことも可能です。
状態をあらかじめ確認することで、初回来院日に手術を行い、治療後の経過確認も写真で対応するなど、来院回数をできる限り少なくしています。
骨隆起が非常に大きい場合は、安全性や治癒を考えて手術を分けることもあります。
1回で同時に行えるかどうかは、骨隆起の大きさや位置を確認したうえで判断するようにしています。
骨隆起切除で横顔はどこまで変わるのか
「骨隆起を取ると、口元はどのくらい下がりますか」というご質問をよくいただきます。
正直なところ、骨隆起切除によって横顔がどこまで変わるのかは、実際に骨を切除してみなければ正確にはわかりません。
骨隆起の大きさや前方への張り出し方、上唇の厚みなどによって、治療後の変化が異なるためです。
基本的には、前方へ大きく発育した骨隆起ほど、切除後の横顔にも変化が出やすくなります。
一方、骨隆起が小さい場合は、歯茎のもりもりした膨らみは改善しても、横顔の変化は小さくなります。
ここでは、比較的大きな骨隆起を切除し、口元に変化が現れた2つの症例をご紹介します。

1つ目の症例は、上あごの前歯から犬歯にかけて骨隆起が大きく発達していました。
骨隆起切除によって骨の張り出しをなだらかに整えた結果、口元の厚みが術前より約3mm減少しています。
横顔でも、鼻の下から上唇にかけての膨らみが小さくなり、口元がすっきりしました。

2つ目の症例は、さらに大きな骨隆起が前方へ張り出し、口ゴボとガミースマイルの両方を強調していました。
治療後は骨の膨らみがなだらかになり、口元の厚みが約4mm減少しています。
ただし、この2症例と同じ変化がすべての方に現れるわけではありません。
掲載している写真は、比較的大きな骨隆起があり、骨隆起切除による横顔の変化が出やすかった症例です。
「これくらいの骨隆起であれば、どの程度口元が下がる可能性があるのか」を考える一つの目安としてご覧ください。
また、骨隆起切除で変えられるのは、前方へ張り出した骨隆起の部分だけです。
前歯の傾きによる口ゴボや、上顎骨・下顎骨そのものが前へ出ている骨格性の口ゴボは、骨隆起切除では変わりません。
横顔をどこまで改善できるかを判断するには、口ゴボのうち、骨隆起が原因となっている割合を見極めることが大切です。
歯の傾きや骨格の影響が大きい場合は、矯正治療や外科的矯正治療を組み合わせて考える必要があります。
ガミースマイルと口ゴボの治療法は、原因の組み合わせで決まります
ガミースマイルと口ゴボは、原因が一つだけとは限りません。前歯の傾き、骨隆起、歯の短さ、上唇の動き、あごの骨格など、複数の原因が重なっている方が多くいらっしゃいます。
前歯の傾きには矯正治療、骨隆起には骨隆起切除、短く見える歯には歯冠長延長術、上唇が上がりすぎる場合には上唇粘膜切除術というように、それぞれの原因によって必要な治療は異なります。
骨格そのものが原因であれば、外科的矯正治療が必要になることもあります。
一つの治療だけですべてを改善しようとすると、歯並びは整っても口元の膨らみが残ったり、ガミースマイルだけが残ったりすることがあります。
大切なのは、どの原因がどの程度関係しているのかを見極め、必要な治療を適切な順番で組み合わせることです。ここからは、原因ごとの治療方法と治療の進め方について説明します。
歯の傾きが大きい場合は矯正治療から始めます
前歯が大きく前へ傾いている場合は、骨隆起や歯茎だけを整えても、ガミースマイルや口ゴボを十分に改善できません。
まずは矯正治療によって、原因となっている前歯の位置を整える必要があります。
前歯が後方へ下がると、口元の突出感が改善するだけでなく、上唇を押し上げていた力も弱くなります。
その結果、ガミースマイルも目立たなくなることがあります。
骨格的な原因が大きい場合も、歯茎の治療より先に骨格への対応を検討します。
大切なのは、歯や骨格という口元の土台を最初に整えることです。
矯正治療によって歯の位置が変わると、歯茎の高さや歯の見える長さ、骨隆起と上唇の位置関係も変わるためです。
骨隆起自体が矯正によって小さくなるわけではありませんが、歯の移動が終わってからのほうが、どの部分をどの程度整えるべきかを正確に判断できます。
矯正後も骨隆起の膨らみが残っていれば骨隆起切除を行い、歯が短く見えたり歯茎の高さが揃っていなかったりする場合は、歯冠長延長術で整えます。
これらは、矯正治療後の口元を仕上げる治療という位置づけです。
当院では、まず歯や骨格を整え、次に骨隆起切除や歯冠長延長術を行います。
骨や歯茎の形を直接整える治療は結果を予測しやすく、後戻りも少ないためです。
それでも上唇が大きく持ち上がり、ガミースマイルが残る場合に、最後の選択肢として上唇粘膜切除術を検討します。
上唇粘膜切除術は、後戻りや傷跡が残るリスクもあるため、最初から行うのではなく、ほかの原因を改善したあとに必要性を判断することが大切です。
>>矯正してもガミースマイルが治らない場合について詳しくはこちら
笑うと上唇が上がりすぎる場合は上唇粘膜切除術を組み合わせます
歯の位置や長さ、骨隆起を整えてもガミースマイルが残る場合は、笑ったときの上唇の動きが原因になっていることがあります。
上唇を持ち上げる筋肉の力が強い方は、笑ったときに上唇が大きくめくれ上がり、歯茎が広く露出します。
このようなガミースマイルに対して行うのが「上唇粘膜切除術」です。
上唇粘膜切除術では、上唇の内側にある粘膜を帯状に切除し、切除した部分を内側で縫い縮めます。
上唇が持ち上がる部位を抑えることで、笑ったときに見える歯茎を少なくする治療法です。
手術は口の中から行うため、顔の表面に傷ができることはありません。
一方で、上唇粘膜切除術には注意点もあります。
術後に痛みや腫れが出やすく、上唇の内側にうっすらと縫合の跡が残る可能性があります。また、上唇を持ち上げる筋肉の力が強い方や唇が柔らかい方では、後戻りすることもあります。
そのため当院では、最初からすべての方に上唇粘膜切除術をおすすめしているわけではありません。
まず矯正治療や歯冠長延長術、骨隆起切除によってほかの原因を改善し、それでも上唇の動きによるガミースマイルが残る場合に行います。
リスクを伴う治療ではありますが、適応が合えば、重度のガミースマイルを大きく改善できることが上唇粘膜切除術のメリットです。

上記患者さまは、笑ったときに上唇が大きく持ち上がり、歯茎が約6mm見えるガミースマイルでした。
上唇粘膜切除術によって上唇の上がり方を抑えたことで、治療後は歯茎の露出が大幅に減り、歯と上唇のバランスが整っています。
このように、歯茎が6mm見えるような重度のガミースマイルでも、大きな改善が得られる場合があります。
当院では、上唇の厚みや筋肉の強さ、歯茎が見える量に合わせて切除量と切開位置を細かく調整し、効果を十分に出しながら、傷跡や後戻りのリスクをできる限り抑えています。
メリットとデメリットを正しく理解し、上唇の動きが主な原因であることを診断したうえで行えば、上唇粘膜切除術は重度のガミースマイルに対して非常に効果的な治療です。
あごの骨格が原因の場合は外科的な治療を検討します
上顎骨や下顎骨そのものが前方へ出ている上下顎前突では、突出の程度が大きい場合、外科的矯正治療によってあごの骨を後方へ移動させる必要があります。
代表的な骨切り手術には、上あごを移動させる「Le FortⅠ型骨切り術」、下あごを移動させる「SSRO(下顎枝矢状分割術)」、前歯とその周囲の骨をまとめて後方へ移動させる「セットバック手術」などがあります。

セットバック手術では、一般的に前歯の後方にある小臼歯を抜き、その部分の骨を切除します。
できたスペースへ、前歯と歯茎、その土台となる骨を一つのかたまりとして後方へ移動させます。
歯だけでなく骨ごと動かすため、矯正治療だけでは難しい大きな口元の変化を得られることがメリットです。
一方で、骨を「どれだけ後ろへ下げるか」だけでなく、「上下的にどの位置で固定するか」も非常に重要です。
上あごの骨が後方へ移動する際に下側へずれて固定されると、前歯と歯茎も一緒に下がり、セットバック後にガミースマイルが目立つことがあります。
「口ゴボは改善したのに、今度は笑うと歯茎が見えるようになった」と、別のお悩みを抱えて当院へ相談に来られる方もいらっしゃいます。

この患者さまも、他院でセットバック手術を受けたあとにガミースマイルが目立つようになったとご相談に来られました。
口元は後方へ下がりましたが、上あごの骨の位置が下側になったことで、前歯と歯茎も下方へ移動していました。そのため、軽く笑っただけでも歯茎が大きく見える状態でした。

まずアンカースクリューを使った矯正治療を行いました。
アンカースクリューを固定源として上の前歯を骨の方向へ圧下し、セットバックによって下がった歯と歯茎の位置を上方へ整えています。
その後、歯冠長延長術によって、短く見えていた歯を本来の長さに整え、歯茎の高さと輪郭を仕上げました。

治療後の笑顔では、セットバック後に目立っていた歯茎の露出が減り、歯と上唇のバランスが自然になっています。
セットバック手術は、骨格性の口ゴボを大きく改善できる効果的な治療です。
ただし、横顔のEラインだけでなく、治療後の前歯の高さや、笑ったときの歯茎の見え方まで考えて手術を計画する必要があります。
>>セットバック後にガミースマイルになる理由について詳しくはこちら
矯正治療中・矯正を検討中の方が知っておきたい、骨隆起切除と歯冠長延長術のタイミング
矯正治療と骨隆起切除・歯冠長延長術の両方が必要な場合、当院では、原則として矯正治療が完全に終了してから手術を行います。
矯正治療で歯が動くと、歯の見える長さや歯茎の高さも変化します。
そのため、歯の移動が終わり、歯茎の位置もこれ以上変わらない状態になってから手術を行うことが、歯の長さや歯茎のラインをきれいに仕上げるために重要です。
骨隆起切除についても同様です。
口ゴボを改善するために前歯を後方へ移動させている場合、歯が内側へ入ることで、より多くの骨隆起を削れるようになります。
矯正途中で骨隆起を切除すると、その後の歯の移動によって、最終的に必要となる切除量や骨の形が変わってしまう可能性があります。
ただし、「矯正治療中だが、できるだけ早く骨隆起を取りたい」「結婚式などの予定があり、先に歯の長さを整えたい」という方もいらっしゃいます。
その場合は、矯正後に行うのが理想であることをお伝えしたうえで、治療の進行状況に応じて手術の時期を検討します。
矯正治療の終盤で、歯がほとんど動かない段階まで進んでいれば、矯正中に骨隆起切除や歯冠長延長術を行うこともあります。
一方で、まだ歯の移動が残っている段階で手術を希望される場合は、矯正終了後に歯茎や骨の形を再度整える可能性があることを予め認識して頂く必要があります。
これから矯正治療を始める方は、歯並びだけでなく、骨隆起の大きさや歯の短さ、歯茎の高さまで事前に診てもらうことが大切です。
手術自体は矯正後に行う場合でも、最初から口元とガミースマイルの両方を含めた治療計画を立てておくことで、「歯並びは整ったのに、口元の膨らみや歯茎の見え方が残ってしまった」という結果を防ぎやすくなります。
横顔の変化で見る|ガミースマイルと口ゴボを改善した症例
ガミースマイルの変化は正面から見た笑顔でわかりますが、口ゴボや鼻の下の膨らみは、横顔で比較したほうが治療前後の違いを確認しやすくなります。
当院では、歯茎の見える量だけでなく、骨隆起によって前方へ押し出されていた上唇の膨らみや、口ゴボなどまで確認しながら、より仕上がりのきれいな治療を行っています。
ここからは、骨隆起切除と歯冠長延長術によって、ガミースマイルと口元の突出感を同時に改善した症例をご紹介します。
矯正治療後に残った口元の膨らみを改善した症例や、口元が約3mm後方へ下がった症例などを、治療前後の横顔も掲載していますので、ご覧ください。
過去に矯正治療を受けた方の骨隆起とガミースマイルを改善した症例
こちらは、他院で抜歯矯正を受けたあと、ガミースマイルと骨隆起による口元の膨らみが気になるようになり、当院へ来院された患者さまです。

矯正治療によって前歯は後方へ移動し、歯並びもきれいに整っていました。
しかし、歯茎の中にある骨隆起は歯のように移動しないため、もとの位置に残ったままでした。
その結果、後方へ下がった歯と骨隆起との段差が大きくなり、骨の膨らみが相対的に前へ出て見える状態になっていました。
骨隆起のご相談では、「矯正治療をきっかけに骨隆起ができた」とお話しされる方が多くいらっしゃいます。
この患者さまも同じように感じていましたが、骨隆起は2〜4年程度の矯正期間だけで、これほど大きく発育したものではありません。
歯ぎしりや食いしばりによる力が長年加わり、徐々に大きくなっていた骨隆起が、前歯を後方へ移動させたことで目立つようになったと考えられます。
治療前の横からの写真を見ると、前歯の位置に対して骨隆起が前方へ大きく張り出し、上唇を押し出していることがわかります。
また、前歯は歯茎に覆われ、正常な長さより2〜3mmほど短く見えており、これもガミースマイルを強く見せる原因になっていました。

そこで、短く見えていた歯を本来の長さへ整える歯冠長延長術と、前方へ大きく発育した骨隆起を切除する手術を同時に行いました。
治療後は歯の長さが整い、笑ったときに見える歯茎の量が減ったことで、ガミースマイルが改善しています。さらに、骨隆起の前方への張り出しがなくなり、歯茎から歯にかけての形もなだらかになりました。

横顔を比較すると、骨隆起によって押し出されていた上唇の膨らみが抑えられ、口元の厚みは治療前より約4mm減少しています。
歯茎の見え方を整えるだけでなく、矯正治療後も残っていた口元の突出感まで同時に改善できた症例です。
>>前方発育した骨隆起とガミースマイルを同時に改善した症例はこちら
骨隆起切除と歯冠長延長術で口元が約3mm後ろに下がった症例
こちらは、「笑うと上唇が骨隆起に引っかかり、元の位置へ戻りにくい」「歯茎が大きく見えることも気になる」とご相談に来られた患者さまです。

初診時は、笑ったときに歯茎が3〜4mmほど見えるガミースマイルで、前歯も歯茎に覆われて短く見えていました。
さらに、上あごの前歯から犬歯にかけて骨隆起が大きく発育し、内側から上唇を前方へ押し出していたため、口ゴボの原因にもなっていました。
この骨隆起に上唇が引っかかることで、笑ったあとに上唇が自然に戻りにくく、スムーズに笑えない状態になっていました。
見た目だけでなく、笑うときの唇の動きにも影響が出ていた症例です。

治療では、歯冠長延長術と骨隆起切除を同時に行いました。
歯冠長延長術によって短く見えていた歯を本来の長さへ整え、笑ったときに見える歯茎の量を減らしています。
同時に、前方へ大きく張り出していた骨隆起を切除し、歯茎から歯にかけての骨をなだらかな形へ整えました。
治療後は歯の長さと歯茎のバランスが整い、ガミースマイルが改善しています。
骨隆起の膨らみもなくなったことで、上唇が引っかからず、以前よりスムーズに笑えるようになりました。

横顔を比較すると、骨隆起によって前方へ押し出されていた上唇の張り出しが抑えられ、口元は術前より約3mm後方へ下がっています。
ガミースマイルと口ゴボだけでなく、笑いにくさまで同時に改善できた症例です。
矯正治療と組み合わせて口元を整えている治療経過
こちらは、口ゴボとガミースマイルを気にされて、ご相談に来られました。
診断の結果、上下顎前突による骨格的な要因を含んだ口ゴボと、上あごの前歯の位置によるガミースマイルを認めました。
また、前歯が歯茎に覆われて短く見えていたため、矯正治療後に歯冠長延長術を行うところまで含めて治療計画を立てています。

まず、前から4番目にあたる小臼歯を抜歯し、そのスペースを利用して前歯を最大限後方へ移動させました。
現時点で前歯は約7.5mm後方へ移動しており、横顔を比較すると、前方へ出ていた上下の口元が下がり、鼻先とあご先を結ぶEラインも理想的なバランスへ近づいていることがわかります。

ガミースマイルに対しては、上あごに2本のミニスクリューを入れ、ゴムを使って前歯とワイヤーを上方へ牽引しました。
前歯を骨の方向へ押し込む「圧下」を行うことで、前歯と歯茎の位置が上がり、笑ったときに見える歯茎の量も減っています。
一方で、前歯を上方へ圧下したことにより、現在は歯茎から見える歯の長さが治療前より短くなっています。
この状態は歯の動かし方だけで仕上げるのではなく、矯正治療が完全に終了してから歯冠長延長術を行い、本来の歯の長さと歯茎のラインを整えることが重要です。
掲載している写真は、歯冠長延長術を行う前のお写真ですが、この段階でも、前歯を後方へ移動させたことで口ゴボが改善し、前歯を上方へ圧下したことでガミースマイルも目立ちにくくなっています。
このように口ゴボとガミースマイルが重なっている場合は、まず矯正治療で歯の前後・上下の位置を整え、その後に歯冠長延長術で歯の長さと歯茎の形を仕上げます。
治療の順番を分けることで、横顔だけでなく、笑ったときの口元までバランスよく整えることができます。
まとめ:ガミースマイルと口ゴボは、原因を見極めて治療することが重要です
横顔の口元が出て見える原因は、前歯の傾きだけではありません。
歯茎の中にある骨隆起や歯の短さ、上唇の動き、あごの骨格など、複数の原因が重なっていることがあります。
そのため、矯正治療で歯並びを整えても、骨隆起による膨らみやガミースマイルが残る場合があります。このようなケースでも、骨隆起切除と歯冠長延長術を組み合わせることで、口元の突出感と歯茎の見え方を同時に改善できることがあります。
「矯正をしたのに口元の膨らみが残っている」「笑うと歯茎や骨の膨らみが目立つ」とお悩みの方は、歯だけでなく、歯茎や骨の形まで含めて原因を確認することが大切です。
当院では、現在の状態を詳しく診断したうえで、必要な治療と期待できる変化をご説明しています。
矯正治療後の口元やガミースマイルが気になる方は、一度カウンセリングへお越しください。
監修者情報
松井 泰隆
YASU DENTAL CLINIC 院長
東京歯科大学を卒業後、京都大学医学部附属病院で口腔外科を学び、その後審美歯科やインプラント治療を行う医療法人に勤務し分院長などを歴任。


