
「長年、歯周病の治療を続けてきたけれど、いっこうに噛めるようにならない」
「いっそ、もう全部抜いてしまった方が楽なのではないか」
重度の歯周病と長く向き合ってきた方の中には、そう感じている方が少なくありません。
歯周病で歯が重度にぐらついている場合、歯を残すことだけが正解とは限りません。残せない歯を抜いたうえで、しっかり噛める入れ歯(インプラントオーバーデンチャーなど)での治療に進むという選択肢もあります。
本記事では、
- 重度歯周病で抜歯を検討する理由
- 全部抜いた後の治療の流れ
- 残す方も抜く方も、そのご希望に応える当院の方針について
大阪でインプラントオーバーデンチャーに専門的に取り組むヤスデンタルクリニックが、院長の臨床経験をもとに解説します。
目次
「もう全部抜いてほしい」重度歯周病でそう感じる方は少なくありません
当院では、インプラントオーバーデンチャー治療を専門的に行っているため、重度の歯周病や虫歯などでほとんどの歯を抜かなければならない状態でお越しいただく機会がたくさんあります。比較的多くの歯が残っているのに、その全ての歯を「抜いて欲しい!」と仰られる患者様もいらっしゃいます。その理由には、「何回も歯医者に行って治療したが、良くならなかった」、「自分の歯に自信がない」、「歯が揺れて噛めないから、しっかり噛めるようになりたい」「重度歯周病の治療をしても見た目が悪くなる」など理由は様々です。
長年治療を続けても噛めず、見た目も良くならない方は多い
何十年と通院していた医院で、「ご自身の歯をなるべく残した方がいいから!」ということで、特に積極的に治療するわけではなく、揺れている歯をボンドで止めたり、何度も外れる歯を止め直すことを繰り返したりされている方が実はたくさんいらっしゃいます。一見すると、歯を大事に残してくれる、”いい歯医者さん!”というイメージかもしれませんが、実は、その場しのぎの治療で、本来残せていたであろう天然の歯も、積極的な治療を行わないことで、最終的には結局、「抜歯になってしまった…」ということもあります。このような積極的な治療を行わない歯科医院の背景には、その歯科医師の技量や責任感、きちんと治す自信があるかなどが関係していることがあります。
もしその患者様が、家族や大切な人であれば、積極的に治療を行い、きちんと噛めるように、残せる歯はきちんと残す治療を行うのではないでしょうか。徐々に悪くなることが分かっていながら、その場しのぎの治療で様子を見ていくことは、責任ある治療とは言えません。

上記写真の患者様も、同じ病院に何十年と通院していましたが、積極的な治療は、行ってもらえず、「自分の歯をなるべく残した方がいい」と歯医者に言われ、騙し騙し揺れている歯を接着剤で固定する治療を繰り返して来られました。
そして最終的には、総入れ歯しかないと言われてしまった患者様もいらっしゃいます。
>>前医で総入れ歯しかないと言われた患者様をIODで治療した症例
「歯を抜いてほしい」と相談しても他院で断られた方へ
当院には、毎年160人ほどの患者様にインプラントオーバーデンチャー治療の相談にお越しいただいております。その中には、まだまだ保存ができる歯も存在するのに、「全ての歯を抜いて欲しい」と仰られる方もいらっしゃいます。
基本的には、残せる天然歯は残した方が良いと、当院は考えております。インプラントも、非常に良い治療法ではありますが、人の手で作られている人工物ということは、忘れてはいけません。世の中に存在する物全てがそうであるように、人の手で作られた物は、どんなに精密に作られても、精巧な機械でも故障や修理は付きものです。一方で、天然の歯であれば100歳でも、ご自身の歯で噛んでいらっしゃる方がいることを考えると、天然の歯は、80年90年持たせることのできる非常に優秀な身体の一部となります。
しかし、一方で歯周病に侵された歯は、歯茎が痩せ細り、歯が長くなってしまっていたり、隙間が大きく開くことで、見栄えが悪くなってしまいます。歯周病の治療を行い歯を残せたとしても、長い歯や、大きな隙間を元に戻すことができないため、若かった頃のように、全て綺麗な歯に治したいと思われている方が多いように思います。
患者様ごとに、どのような治療法で、どのように噛んで、どのような見栄えになりたいかは、それぞれ違うのは当然だと思います。当院では、天然の歯の重要性を十分に患者様に説明した上で、皆様のより理想とする最終ゴールを一緒に考えるお手伝いをさせていただいております。
下記の症例の患者様は、50代の男性で、重度の歯周病により全ての歯を残すことが出来なかった方で、ご相談の上で、上下顎のインプラントオーバーデンチャーで治療した症例になります。

| 年代・性別 | 50代男性 |
| 主訴 | 歯周病で歯がグラグラしている、部分入れ歯を入れるとえずく |
| 治療内容 | 上下顎で計6本のインプラントを使用し、インプラントオーバーデンチャーで治療を行いました。 |
| 費用 | 精密金属床義歯1装置50万×2(上下顎),義歯用インプラント1本25万×6本,ロケーター6万×4個, |
| 期間 | 1年 |
| リスク・副作用 | インプラントもご自身のブラッシングを行わないと歯周病になります。天然の歯同様ブラッシングを行い定期的なメンテナンスが重要です。この義歯はご自身で着脱でき、インプラント周囲の清掃が非常に簡単な為、メンテナンスしやすい工夫もされております。 |
>>重度歯周病で歯がグラグラの状態をインプラントオーバーデンチャーで治療した症例
50代〜60代で歯を多く失う重度歯周病の特徴
当院では、30代前半の方から、40代50代と比較的若いご年齢で重度の歯周病に罹り、多くの歯を失ってしまった方がたくさんいらっしゃいます。30代〜50代での喪失歯数は、平均でも1本〜2本程度(歯科実態調査2022年厚生労働省)なので、30代で歯が全くない状態は、明らかに歯周病のリスクが一般の方よりも高いことが伺えます。
若くして重度歯周病に罹ってしまう方は、一般的に健康の方に比べて、より悪性度の高い歯周病菌に感染している可能性が高いと思われます。人は生まれた時(新生児期)は、皆お口の中は無菌の状態のため、一緒に生活する親や家族から、その歯周病菌が感染します。よって親や家族が悪性度の高い歯周病菌を保有していたり、歯周病治療を行っていないお口の状態であれば、その子供も将来、重度の歯周病で悩まされることを意味します。
ここで重要なのが、この悪性度の高い歯周病菌に感染しているのであれば、一度、その菌を断ち切らなければ、インプラント治療を行っても、またインプラントの歯周病になり、後々インプラントを失ってしまうリスクが高くなってしまいます。
歯周病菌は歯周ポケットを主な生息場所とするため、全ての歯を失うと、それらの細菌は大きく減少すると考えられています。そのため、重度歯周病の患者様でも、無歯顎の状態が半年ほど続くと、悪性度の高い歯周病菌がリセットされ、歯周病菌による影響を受けにくい状態になります。
このように状態の悪い重度歯周病の歯を残すことで起こるデメリットも十分に理解しておくことが重要です。
「再生療法で歯を残すこと」だけが重度歯周病治療ではありません
重度に歯周病が進行し、顎の骨が吸収した所を再生させることができることがあります。いくつか適応には条件がありますが、仮に骨の再生を行うことができれば、重度の歯周病の歯でも抜歯を回避することができます。
しかし一方で再生療法には、長い治療期間がかかったり、見た目の改善は難しいなどデメリットも存在します。
①再生療法は時間がかかるわりに、見た目も歯の状態も良くなりにくい
一般的に、再生療法を行った部位は少なくとも6ヶ月間は、治癒期間となるため、歯周ポケットの検査など手術部位を触ることが出来ません。状態によっては、1年間も経過観察を行わないといけないこともあり、とても期間がかかる治療方法となります。
また重度の歯周病の方は、骨が失われているのと同時に、歯茎も失われており、歯茎が痩せることで、歯が長くなってしまっている状態となります。再生療法は、失われた骨は再生されますが、痩せてしまった歯茎を元に戻すことはできないため、歯茎は痩せたままで、歯も長い状態で治癒するので、見た目が良くなることはありません。歯茎が痩せて歯が長く見えると、年齢が高く見えてしまい、審美性を求める方には不向きな治療法とも言えると思います。

上記症例は、30歳にして重度の歯周病に罹り、3年の治療期間をかけて全顎的な歯周病治療と矯正治療を行った患者様です。歯周病菌は減少し、歯周病治療としては成功しましたが、特に下の前歯の歯茎が痩せてしまい、歯が長くなることで見栄えが悪くなっているのが分かります。
②歯茎の手術後に起こる「ブラックトライアングル」
重度の歯周病治療では、歯茎を外科的に開いて、歯の表面に付着した歯周病菌を直接取り除く治療(フラップ手術)を行うことがあります。歯周ポケット深くまで進行した歯周病菌は、器具が届かず、目で見て確認ができないため、100%取り切ることが難しくなってしまいます。よって歯茎を外科的に開くことで、視認性が良くなり、確実に歯周病菌を取り除くことができるようになります。

しかし、このフラップ手術を行うことで、歯周病菌が減少することで、歯茎の炎症は治り歯茎が引き締まります。歯茎が引き締まる事は、本来良いことなのですが、患者様からすると、「歯茎が痩せてしまった」「歯茎が下がった」と捉えられることもあります。これは、身体の治療に対する反応上どうしても避けることが難しいのですが、歯茎が痩せることで、歯と歯の間に隙間が開いてしまい、黒ごまが歯に詰まったように見えてしまう、ブラックトライアングルを作ってしまいます。

上記写真のように、歯茎が下がることで、歯と歯茎に囲われた部分が黒い三角形のように見えることで、ブラックトライアングルと呼ばれていますが、審美性を損ねる原因の一つとなります。
③歯周病菌が減っても、見た目は元に戻らない
一般的に歯周病治療は、お口の中の歯周病菌を減らして、歯茎の腫れを取り除くことを治療のゴールとしていますが、一方で、患者様は、良く噛めるように歯の咬合の機能であったり、お口の見た目も綺麗にする審美的な改善も望まれていたりします。
一般的な歯科医院は、「ひどい歯周病にかかったから仕方ない」「歯周病治療とはこういうものだ」とどこか今の時代に合ってない、古い固定観念を持ち続けている側面があります。
近年では、歯の審美治療が一般的になり、歯が綺麗な方がかなり増えてきている印象です。以前までは、ホワイトニングが一般的な審美治療でしたが、白くするだけでは物足りず、さらに綺麗に見せるために、薄いセラミックを貼り付けるラミネートベニアなどセラミックを使った審美治療がスタンダードになりつつあります。このような時代の流れの中で、歯周病治療を行った患者様も、審美性を求めるのは当然だと思います。もちろん、「審美」とは、皆様ごとに価値観が異なるので、綺麗とするゴールはそれぞれ異なりますが、歯周病にかかってしまったからと言って、綺麗なお口元を諦める事はありません。
重度歯周病で「潔く歯を抜く」という選択肢
残せる歯がわずかな重度歯周病では、「潔く歯を抜く」というのも、治療方針の一つだと思います。残せる歯があったとしても、その歯がグラグラしていたり、斜めに傾いていたり、もしくは、入れ歯を支えるのに効果的な歯の位置ではないと、残したとしても、結局使い道がなかったり、すぐに抜歯になってしまったり残すメリットがないこともあります。
また重度歯周病治療をおこなった歯は、歯茎が痩せ、歯が長くなり、ブラックトライアングルなどにより、見た目が悪くなることから、より審美性の高い治療をご希望の方には、「潔く歯を抜く」ということも、一つの重要な選択肢となります。
全ての歯を抜くことで、歯を理想的な位置に並べ、見た目も噛み合わせも理想的に仕上げることができます。
歯を残すことが、全てにおいて良いわけではなく、歯の状態や治療方法、患者様のご希望などいろんな事を加味して決めて行くことが重要です。
歯がなくなれば、歯周病菌は悪さをしない
歯周病とは、文字通り歯の周りの病気で、歯がある所に起こる病気となります。逆を言えば歯が無ければ歯周病には罹りません。
歯周病菌は、歯と歯茎の境目の溝(歯周ポケット)に主に生息しており、酸素を嫌うため、ポケットの奥深くに進行しようとします。
歯を抜くことで、歯周ポケットがなくなり、歯周病菌の好ましい環境がなくなります。
よってどんな重度歯周病の方でも、口臭や歯茎から血が出やすい方でも、全ての歯を抜くと、それらの症状はなくなります。
無歯顎を6ヶ月保つと菌のバランスが整う
前項でお話したように、全ての歯がなくなれば歯周病菌は悪さをしません。重度歯周病で多くの歯を失った方は、普通の方に比べると、より悪性度の高い歯周病菌を保有しており、歯周病リスクが高くなっている状態です。特に若くして重度の歯周病に罹る方は、Aggregatibacter actinomycetemcomitans(Aa菌)や、Porphyromonas gingivalis(Pg菌)などある特定の細菌が関与していると言われております。このようにより悪性度の高い歯周病菌を保有していたとしても、全ての歯がない無歯顎の状態になれば、その菌の数は減少し、悪さをしなくなります。一般的に6ヶ月間、無歯顎の状態が続くとお口の中の菌はリセットされると言われているので、重度歯周病で無歯顎になり、歯周病リスクが高い方がインプラント治療される際は、この一定期間は、インプラント治療は避けた方が良いかもしれません。
全ての歯を抜いてインプラントオーバーデンチャーにする選択肢も
重度歯周病により多くの歯が失われ、残すことができる歯の状態が良くなかったり、本数が少ない場合などは、全ての歯を抜いて総入れ歯やインプラントオーバーデンチャーといった治療をおすすめすることがあります。

当院では、残せる歯の状態が良く、入れ歯の支えとなる歯がある場合は、患者様とご相談の上で残す治療をお話させていただいております。しかし、今後の入れ歯やインプラントの設計を行う上で、逆に歯を残すことで良い噛み合わせや、入れ歯の安定、審美性の高い治療の妨げとなる歯は、抜いてしまうことも重要な選択となってきます。
実際に、これまで無理矢理天然の歯を残して、修理などを行い耐え忍んできた方や、ぐらぐらしている歯に部分入れ歯のクラスプをかけて生活されてきた方などが、思い切って全ての歯を抜き、インプラントオーバーデンチャーにしたことで、非常にQOL(生活の質)が上がったというケースが多数あります。
インプラントオーバーデンチャーでは、コストを抑えて必要最小限のインプラント本数で総入れ歯を
しっかり固定でき、またメンテナンスも非常に行いやすいことから、近年大変注目されている治療方法です。
インプラントオーバーデンチャーは歯を全部抜いた方がいいのか?
上下共に2〜3本しか歯が残らない場合などは、インプラントオーバーデンチャーの支えとしては力不足になるため、あまり残すメリットがありません。
入れ歯の支えとして残す場合は、少なくとも4本の歯が残っており、ある程度左右対称に同じ場所にあることが望ましく、特に犬歯や第一大臼歯などの歯が残っていると効果的に入れ歯を支えることができます。
また天然の歯を残すことで天然歯のみに存在する歯根膜という組織が、食事の食感などの圧を感知する組織として機能するため、歯を残しておいた方が、よりご自身の歯のようにお食事を楽しんでいただけると思います。ただし最終的に歯を残すのか、全ての歯を抜いてしまうのかは、患者様の意向に寄り添うようにしておりますが、残る本数が少なかったり、歯の状態や位置などが悪い場合には、全ての歯を抜いてしまった方が、悪性度の高い歯周病菌がリセットされたり、一から良い噛み合わせや、見た目の美しい治療もできることから、得られるメリットが多い場合もありますので、一緒に患者様と相談しながら、抜歯を検討することが大切です。
全部抜いた後の治療の流れ|抜歯から仮義歯・IODまで

重度歯周病などにより全ての歯を抜いて、どのように治療していくかをイメージすることは、なかなか難しいと思います。実際の患者様でよく心配されている内容としては、
「歯が無い期間はあるのか?」
「仮の入れ歯が入って、すぐに食事が取れるのか?」
「入れ歯の見た目は自然なのか?」
「仮の入れ歯に慣れるのはどれくらいの期間がかかるの?」
「トータルの治療期間はどれくらい?」
など心配事は後を絶ちません。
ここでは、全ての歯を抜いていく所から、最後のインプラントオーバーデンチャーが入るまでの手順をご説明致します。
>>インプラントオーバーデンチャーの詳しい治療の流れについて
①重度歯周病で保存が難しい歯を全て抜く

重度の歯周病で保存が難しい場合は、全ての歯を抜いていくことになりますが、今現在何本の歯が残っているのか、どこでご飯を噛んでいるのか、入れ歯を使用しているのかなどで、抜いていく順番は異なります。
まず大前提として、見栄えや、食事など社会生活に影響が無いように可能な限り、歯が全くない期間を作らないように抜歯の計画を立てていきます。
部分入れ歯を使用されている方であれば、歯を抜いた部分は入れ歯の修理を行い、入れ歯を足していき、徐々に抜歯と入れ歯の修理を繰り返して行っていきます。
入れ歯を使用されていない方は、前歯と食事を噛んでいる歯以外の、あまり噛み合わせや見た目に影響しない所から徐々に抜歯を行っていきます。
当院では、歯医者さん嫌いの方が多く通院されているので、最初はご相談の上で、あまり負担にならないような所から抜歯を行い、徐々に慣れていただくようにしております。
②仮義歯を入れる(むしろよく噛めるようになる)

見た目と噛み合わせに影響する歯だけを残した状態で、仮の入れ歯を作成するため、型取りを行っていきます。
これは、即時義歯と言われる物で、歯がある状態で型取りを行い、入れ歯を作る模型上で、仮想の抜歯を行い、総入れ歯を作成することができます。よって残っている歯を抜歯すると同時に、その日に仮の総入れ歯が入るので、歯が無い期間をなくし、食事も取っていただけるようになるので、日常生活への影響を最小限にすることができます。
仮の入れ歯に慣れる期間は、人それぞれですが早い方で数週間、長い方で1〜2ヶ月程度で違和感がなくなり、お食事も痛みなくお取りいただけるようになります。重度歯周病で歯がグラグラしていた頃に比べると、仮の入れ歯の方が、むしろ良く噛めるようになり、見た目も良くなることから、なるべく早く仮の総入れ歯に移行することが大切です。
③6ヶ月ほどあけてインプラントオーバーデンチャーへ

6ヶ月程度は、この仮義歯でお過ごしいただきます。歯を抜いて中の骨がきちんと治る期間と、悪性度の高い歯周病菌を減らしていく期間として6ヶ月が必要になってきます。
その後、インプラント手術を行い、2〜3ヶ月の治癒期間となります。この期間は、インプラントになるべく負担をかけないようにするため、入れ歯の内面に調整を加えて、入れ歯で噛んでも、歯茎の下にあるインプラントに力がかからないようにします。入れ歯の内面の調整を行うことで、入れ歯が緩くなる期間となりますが、一時的にポリグリップなどの入れ歯安定剤をご使用頂き、生活していただいております。
インプラントが骨と結合した後は、インプラントに入れ歯を固定するパーツを取り付けて、最終の入れ歯を仕上げていく段階となります。最終の入れ歯は、精密に作成を行うため、2ヶ月程度期間を頂き見た目なども一緒に確認して頂きながら最終義歯が完成となります。
実際に私の父にもインプラントオーバーデンチャーの治療を行っております。私の父も重度歯周病で40代から入れ歯を使用するようになり、徐々に歯が悪くなり、長年ご飯を噛むことに苦労してきました。入れ歯をどれだけ調整しても、ご飯を満足に噛むことができない、そんな父親を近くで見てきた私が、きちんと噛めるようにとインプラントオーバーデンチャーの治療を行っております。
「歯を残したい」「歯を抜きたい」どちらの希望にも応える当院の方針
これまで、歯を抜くことを前提にお話をしてきましたが、そもそも入れ歯の支えとなる歯であれば、歯を抜く必要はないと、当院は考えております。
入れ歯を支えることができ、状態が良い歯であれば、長期に渡って歯を保存することも可能だと思います。歯を残すことのメリットもたくさんありますので、患者様のご希望をお聞きするようにしております。
しかし一方で、歯を抜いた方が良いケースであるにもかかわらず、一部の歯科医院では「歯は絶対に抜いてはいけない」「なるべく抜かない方がいい」という考えが強すぎるあまり、抜かずに放置することで、かえって患者様のQOLが下がり、日常生活をきちんと送れずに、困られている方をたくさん見てきました。そのため、あえてこのようなお話をさせて頂きました。
当院では、歯を残すか、全て抜歯するかの判断は、最終的には患者様ご自身に選んでいただくようにしています。しかし、その歯を残すことで、将来的なトラブルや、再治療の可能性、どれくらい持たせることができるのかなど、どのようにした方が良いのかの判断が難しいと思いますので、私どもは、その判断するために必要な情報をお伝えして、納得して決めていただくためのお手伝いをさせていただいております。
歯を残したい方には、コーヌスクローネで天然歯を活かす方法も
歯を残す場合に、最もインプラントオーバーデンチャーと相性が良いのがコーヌスクローネという装置になります。
残す数本の歯を被せ物にして、部分入れ歯のように仕上げることもできますが、そうすると入れ歯と被せ物が混在するため、見栄えに統一感がなくなるのと、もし将来的に被せ物が抜歯になった際は、また入れ歯の作り替えが必要になるデメリットがございます。
しかし、コーヌスクローネにすることで、入れ歯の支えとなる歯は、全て入れ歯の中に取り込まれる形となるため、見栄えも良く、仮に歯が一本抜歯になったとしても、引き続き入れ歯をご使用いただけるメリットがあります。

>>下顎の総入れ歯をインプラントとコーヌステレスコープで固定を行った症例(インプラントオーバーデンチャー)
抜きたい方には、希望に叶うかをきちんと診断する
最初に当院にお越しいただいた際に、「全部歯を抜きたいです」とご希望をいただくことがありますが、まずは、その歯が本当に抜歯適応の歯なのか、何か保存して今後に活用できる可能性がないかなどを詳しく精査することから始まります。当院では、最初の無料カウンセリング時に、パノラマとCTの2種類のレントゲンを必ずお撮りするようにしております。パノラマレントゲンは、お口の中の全体像を映し出すようなお写真ですが、明らかに保存が難しい歯などは、このパノラマレントゲンだけで抜歯の可否を診断することが可能となります。しかし、保存できるかどうか微妙な歯に関しては、さらに追加で詳細な部分を映し出すデンタルという小さいフィルムのレントゲンを撮影し、歯周病の検査などを追加して最終の診断を行うようにしております。
いずれにしても、最終的に抜くことが患者様ご自身で決まっていたとしても、当院では、保存の可能性を探り、残すことができる場合は、どのような方法で歯を残して、どのように活用するか、残す場合のメリット・デメリットなども全てお伝えした上で、最終決定をしていただくようにしています。
後から「やっぱり残しておけば良かった…」と後悔しても、歯は戻って来ないので、後悔がないように、ここのステップは、必ず踏むようにしております。
重度歯周病の治療で抱えやすい不安について
重度歯周病になり、歯が揺れて、歯茎は痩せ細り、見栄えが悪くなり、ご飯をしっかり噛めないなどのことで、様々な不安やコンプレックスなどを抱いてご来院されます。
そのため、
「こんな口の中を歯医者さんに見られるのが恥ずかしい」
「もっと早く来ればよかったと怒られるのではないか」
「ここまで悪くなったら、もう治らないのではないか」
と何年も受診をためらってしまう方も少なくありません。
しかし、ご安心ください。
当院は、重度歯周病や多くの歯を失われた患者様の治療を専門的に行っており、このようなお口の状態の患者様が毎年数多くご相談に来られています。
私たちにとって、そのようなお口の状態は決して珍しいものではありませんし、「もっと早く来ればよかったですね」と患者様を責めることもありません。
大切なのは、今からどうすれば、もう一度しっかり噛めるお口を取り戻せるかを一緒に考えることだと思っております。
「歯がボロボロの状態で歯医者に行くのが恥ずかしい」と感じる方へ
歯科医院へ相談すること自体に勇気が必要だと感じている方も多いと思います。
しかし、
「当院では重度歯周病や多くの歯を失われた方」
「歯科にトラウマがあり、何十年も歯医者に行ってない」
などの患者様がたくさんご相談にお越しになられます。
私自身の父も重度の歯周病で、多くの歯を失っていました。その父にインプラントオーバーデンチャー治療を行った経験があるからこそ、患者様の不安やお気持ちに寄り添ったご提案ができると考えています。
どのような状態であっても、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
これから先の人生が少しでも明るく、豊かになるよう、一緒に最適な治療方法を考えさせて頂きます。
手術への恐怖が強い方は、静脈内鎮静法で
「手術が怖い」「歯科治療に強い恐怖心がある」という方には、静脈内鎮静法にも対応しております。
点滴からリラックスできるお薬を使用することで、うたた寝をしているような状態で手術を受けていただくことができます。
不安や緊張が和らぐため、手術への恐怖心が強い方にも安心して治療を受けていただけます。
抜いた後のインプラントを長く保つための清掃
インプラントオーバーデンチャーは、しっかり噛める非常に優れた治療法ですが、長く快適に使い続けるためには、治療後のお手入れが欠かせません。
天然歯と同じように、インプラントの周囲に汚れが蓄積すると「インプラント周囲炎」を引き起こし、インプラントを支える骨が失われてしまうことがあります。

そのため、毎日のセルフケアと定期的なメンテナンスを継続することが大切です。
当院では、お口の状態に合わせた清掃方法もしっかりとご説明しております。
重度歯周病で「歯を抜きたい」と思ったら、まずはご相談ください
「もう全部抜いてしまった方が楽なのではないか…」
「本当に歯を残すべきなのか、それとも抜いた方がいいのか…」
「残しても自分の歯に自信がない」
など歯を抜く判断を、ご自身で決めることは容易ではありません。
重度歯周病では、歯を残すことが最善のケースもあれば、思い切って抜歯を行い、インプラントオーバーデンチャーなどでしっかり噛めるお口を取り戻した方が、QOL(生活の質)が大きく向上するケースもあります。
大切なのは、「歯を残すこと」そのものではなく、これから先も食事を楽しみ、笑顔で過ごせるお口を取り戻すことだと私は考えています。
当院では、60分の無料カウンセリングでレントゲン検査やCT撮影を行い、お口の状態をしっかり確認したうえで、歯を残す方法・抜歯を行う方法の両方を含めて、患者様にとって最適な治療方法をご提案いたします。
一人で悩み続ける前に、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ:重度歯周病は「残す」だけでなく「抜いてしっかり噛む」選択肢もある

重度歯周病になると、「歯はできるだけ残した方が良い」という考えだけでは、患者様にとって最善の結果にならないことがあります。
もちろん、残せる天然歯は大切にすべきですが、一方で、歯を無理に残すことで噛みにくさや見た目の問題、歯周病の再発に悩み続けてしまうケースも少なくありません。
そのような場合には、状態の悪い歯を抜歯し、インプラントオーバーデンチャーでしっかり噛めるお口を取り戻すことが、人生の質(QOL)を大きく向上させる選択になることもあります。
当院では、「歯を残したい」というお気持ちも、「思い切って抜いて治したい」というお気持ちも、どちらも大切にしています。一方的に治療方針を決めるのではなく、お口の状態や将来のこと、ご希望を十分にお伺いしたうえで、患者様にとって最適な治療方法をご提案いたします。
重度歯周病でお悩みの方は、一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
これから先も、美味しく食事を楽しみ、笑顔で過ごせる毎日を取り戻すためのお手伝いをさせていただきます。
YASU DENTAL CLINIC
〒543-0074
大阪府大阪市天王寺区六万体町5ー18
大阪メトロ谷町線 四天王寺前夕陽ヶ丘駅3番出口直結
