部分入れ歯の金具を隠す方法|目立たない入れ歯の選び方と治療のポイント

歯科コラム

部分入れ歯の金具を隠す方法|目立たない入れ歯の選び方と治療のポイント

部分入れ歯の金具を隠す方法|目立たない入れ歯の選び方と治療のポイント

部分入れ歯の金具がキラっと見えてしまい、「人と話すときについ口元を手で隠してしまう」「マスク生活が終わっても外すのがこわい」と感じていませんか。

保険の部分入れ歯では、噛む力を支えるためにクラスプ(金具)が必要になることが多く、「見た目よりも機能」が優先されやすいのが現状です。一方で、仕事やプライベートで人前に立つ機会が多い方にとっては、金具が目立つかどうかは、表情や自信に直結する大きなテーマです。

この記事では、「部分入れ歯の金具を隠す方法」を中心に、金具が目立つ仕組み、歯科医院でできる設計の工夫、ノンクラスプデンチャーなど金具を使わない入れ歯の選択肢、市販アイテムやセルフケアの注意点までを整理して解説します。ご自身のお口の状態やライフスタイルに合った「目立たない入れ歯」の考え方を、一緒に見つけていきましょう。

部分入れ歯の金具が目立つのはなぜ?仕組みと実際の見え方について

部分入れ歯の金具が目立つのはなぜ?仕組みと実際の見え方について

「どうして自分の入れ歯だけこんなに金具が目立つんだろう…」と感じている方も少なくありません。

部分入れ歯は、残っている歯に金具(クラスプ)をかけて支える構造のため、どうしても見えやすい位置に金属が来てしまうことがあります。また、保険診療で使える素材や形にはルールがあり、その範囲で「外れにくさ」と「壊れにくさ」を優先すると、ある程度の太さや色味の金具が必要になります。

ここでは、クラスプの役割や保険の部分入れ歯の仕組み、前歯・奥歯による見え方の違いを知ることで、「なぜ自分の金具はこう見えるのか」を整理していきましょう。

クラスプ(金具)が必要になる理由と役割

部分入れ歯は、単に歯ぐきの上に乗っているだけではなく、残っている歯にクラスプという金具を「ひっかけて」固定することで、噛む力に耐えられるようにできています。クラスプは、入れ歯がガタつかないように支えたり、食事のときに前後左右にずれないように抑えたりと、とても重要な役割を担っています。

そのため、見た目が気になるからといって、クラスプを安易に外してしまったり、自己判断で細く削ってしまったりすると、外れやすくなったり、金具自体が折れやすくなるリスクがあります。また、支えになっている歯に過度な負担がかかり、グラグラしてきてしまうことも。見た目はもちろん大切ですが、「噛めること」「長く使えること」とのバランスをとりながら、クラスプの形や太さを決めていくことが何より大切です。

保険の部分入れ歯で金具が目立ちやすい理由

保険診療で作る部分入れ歯は、「使ってよい素材」や「設計の範囲」があらかじめ決められています。多くの場合、歯や歯ぐきを再現する部分はプラスチック(レジン)、支えとなるクラスプは銀色の金属で作られます。この金属部分は、噛んだときに曲がったり折れたりしないよう、ある程度の太さと幅が必要です。

その結果、口を開けたときに、歯ぐきのピンクや歯の白さの中に「銀色のライン」が見えて、光を反射して目立ちやすくなります。特に、前歯の近くにかかるクラスプや、唇側(表側)に回り込む形のクラスプは、会話中や笑った瞬間に見えやすい位置にきやすいのが特徴です。保険の部分入れ歯では、このような素材や形の制限があるため、「ある程度は見えてしまうもの」と理解しておくことが現実的なスタートラインになります。

前歯・奥歯など金具の見え方はどう変わる?

金具が目立つかどうかは、「どの歯にかかっているか」「上の歯か下の歯か」によっても大きく変わります。

たとえば、上の前歯の近くにクラスプがかかっている場合、笑ったときや写真撮影のときに、唇が大きく上がると金具がキラッと見えやすくなります。一方で、奥歯にかかるクラスプは、口を大きく開けたときや下から覗き込まれたときでないと気づかれにくいことが多いです。

「1本だけの部分入れ歯」で前歯を補っているケースでは、支えになる歯も前方に限られるため、どうしてもクラスプが前歯側に出やすくなります。逆に、上下で数本ずつ歯を失っている場合は、奥歯側にクラスプを回して目立ちにくくできることもあります。このように、欠損している本数や位置によって、金具の見え方や、患者さんが感じる「恥ずかしさ」のポイントも変わってきます。まずは、ご自身の口元でどのパターンに当てはまるのかを知ることが、「部分入れ歯の金具を隠す方法」を考える第一歩になります。

部分入れ歯の金具を隠す方法|歯科医院でできる4つの工夫

部分入れ歯の金具を隠す方法|歯科医院でできる4つの工夫

「今の入れ歯をなんとか目立たなくできないかな?」というお悩みに対して、歯科医院でできる工夫はいくつかあります。

代表的なのは、金具をかける位置や角度を変える方法、クラスプ自体の形や太さ・素材を見直す方法、設計そのものを変えて金具を裏側に隠す方法、そして金具の色を歯や歯ぐきになじませる方法です。どれが適しているかは、残っている歯の状態や噛み合わせ、ライフスタイルによって変わります。

ここでは、実際の診療現場で行う4つの工夫について、イメージしやすいように順番にご紹介していきます。

金具が「見えにくい場所」に位置を調整する

まず比較的取り入れやすいのが、金具をかける位置や角度を見直す方法です。人によって、口を開けたときや笑ったときに大きく見える範囲は少しずつ違います。診療では、実際に口を開けてもらったり、笑ったときの形を確認したりしながら、「相手から見えにくいゾーン」を探していきます。

たとえば、同じ前歯の近くでも、唇側ではなく少し奥側に回り込むようにクラスプを設計したり、できるだけ奥歯側の歯に支えを移したりすることで、真正面から見たときの金属の露出を減らせることがあります。すでに部分入れ歯をお持ちの方でも、クラスプの位置や曲げ方を調整することで改善できるケースは少なくありません。

「この入れ歯はもうこういうもの」とあきらめず、一度相談してみる価値があります。

金具の形や太さ・素材を工夫する

次に、クラスプそのものの形や太さ、素材を工夫する方法があります。

クラスプは、太くてがっしりしていれば目立ちやすい反面、細くすればするほど見えにくくなります。しかし、細くしすぎると今度は曲がりやすくなったり、支えの力が不足して外れやすくなったりしてしまうため、「安全に細くできるライン」を見極めることが大切です。

歯科医院では、噛む力のかかり方や支えとなる歯の状態を確認しながら、必要な強度を保ったうえで、できるだけスリムに見える形を検討します。また、同じ金属でも、ある程度細くしても強度を保ちやすい素材を選ぶことで、見た目への配慮もしやすくなります。

どのくらい細くできるかは口の状態によって変わるため、「ここまでなら安心」「ここから先は折れやすくなる」といったラインを説明しながら、一緒に決めていくイメージです。

入れ歯の設計そのものを変える

金具の位置や形だけでは限界がある場合、入れ歯の設計そのものを変更する方法も選択肢になります。

たとえば、金具を歯の表側ではなく裏側に回り込むように設計し、正面から見えにくくする方法があります。ほかにも、残っている歯に小さな装置を取り付け、カチッとはめ込む「磁性アタッチメント」や、鍵と鍵穴のような構造で固定するアタッチメントを用いる方法もあります。

このような設計では、金具が外側からほとんど見えない一方で、歯の一部をわずかに削る必要が出ることや、追加の装置を付けるための治療が必要になることがあります。治療期間や費用の負担も含めて、「どこまで見た目を優先したいか」「どの程度の手間なら許容できるか」をしっかり話し合いながら決めていきます。

金具の色を歯や歯ぐきに馴染ませる

もう一つの工夫として、金属色をそのまま見せるのではなく、歯や歯ぐきの色になじむ素材でカバーする方法があります。

たとえば、歯ぐきに近いピンク色や、歯の色に近い白い樹脂を用いてクラスプの一部を覆うことで、パッと見たときの「銀色のライン」をやわらげることができます。

ただし、カバーする素材を厚くしすぎると違和感や発音のしづらさにつながることがあるため、強度と薄さのバランスを見ながら設計することが重要です。また、周囲の歯や歯ぐきの色に近づけて細かく色合わせをすることで、より自然な印象に近づけることができます。

見た目を優先しながらも、日常の食事や会話に支障が出ないよう、実際の生活場面をイメージしながら相談していくことが大切です。

金具を隠せる部分入れ歯について

金具を隠せる部分入れ歯について

「金具をどうにかしたい」とご相談いただくとき、多くの方が気にされるのが「そもそも金具を使わない入れ歯はできないのか?」という点です。

近年は、金具を使わずに歯ぐきに近い色の樹脂で固定するノンクラスプデンチャーや、特殊な装置を使って金具を外側から見えにくくするアタッチメント義歯・マグネット義歯など、見た目に配慮した選択肢が増えています。一方で、費用・耐久性・ケアの手間など、従来の保険の部分入れ歯とは異なる点もあります。

ここでは、「金具を隠せる・目立ちにくくできる」入れ歯の代表的な種類と、それぞれのメリット・デメリット、さらに入れ歯以外の治療も含めた考え方を整理していきます。

ノンクラスプデンチャーで金具を使わない部分入れ歯にする

ノンクラスプデンチャーは、名前の通り「クラスプ(バネ・金具)」を使わずに固定するタイプの部分入れ歯です。金属の代わりに、歯ぐきの色に近いピンク色の特殊な樹脂を使い、その弾力で残っている歯にしっかりと抱え込むようにして固定します。金具が表側に出ないため、口を開けたときにキラッと光るものがなく、見た目が自然になりやすいのが大きな特徴です。

また、金属をほとんど使わないため、金属アレルギーの心配が少ないこともメリットの一つです。素材自体も比較的薄く・軽く作りやすく、「入れ歯のゴツゴツした感じが苦手」という方にとっても受け入れやすい選択肢になりやすいです。

特に、人前で話す機会が多い方や、接客業・営業職などで口元の印象が気になる方から、検討されることが増えてきています。

ノンクラスプデンチャーのメリット(見た目・装着感・アレルギー面)

ノンクラスプデンチャーの一番わかりやすいメリットは、やはり「見た目」です。口を大きく開けて笑っても、前歯の根元に銀色の金具が見えないため、写真撮影や会議でのプレゼン、飲み会の席などでも、口元を気にしにくくなります。「マスクを外すのが怖い」という不安が軽くなった、と感じる方も多いです。

装着感の面でも、金属のバネではなく、弾力のある樹脂が歯や歯ぐきをやさしく包み込むように支えるため、「当たり」が柔らかく感じられやすいという利点があります。素材を薄めに設計できるケースでは、保険のレジン床に比べて違和感が少ないと感じる方もいます。

さらに、金属をほとんど使わない構造のため、金属アレルギーを心配されている方や、「これまでの金属の入れ歯でかゆみや粘膜の赤みが出たことがある」という方にも選択肢になりやすい治療です。毎日の食事・会話・仕事の場面をイメージしながら、「どのシーンで困っているのか」「どこまで見た目を優先したいのか」を共有しておくと、設計の方向性を決めやすくなります。

ノンクラスプデンチャーのデメリット・注意点(耐久性・費用など)

一方で、ノンクラスプデンチャーには注意しておきたい点もあります。まず、長期的に使っていくうちに、樹脂の弾力が少しずつ弱まり、最初のころよりもホールド感が落ちてくる場合があります。その場合は作り直しや大きな修理が必要になることも多く、金属のクラスプ義歯に比べると「修理して長く延命する」という考え方が取りにくいケースがあります。

また、素材の性質上、破折や大きな変形が起きたときの修理が難しく、預かり期間が長くなったり、場合によっては新製を検討せざるを得ないこともあります。さらに、多くのノンクラスプデンチャーは自費診療となるため、保険の部分入れ歯と比べると費用が高くなりやすい点も理解しておく必要があります。

適しているのは、むしろ支えとなる歯や歯ぐきの状態が比較的良く、欠損本数も限定されているケースです。歯ぐきが大きく痩せている方や、残っている歯のグラつきが強い方などでは、他のタイプの入れ歯やインプラントなどを含めて慎重に検討したほうが良い場合もあります。「なんとなく流行っているから」ではなく、ご自身の口の状態を踏まえて向き・不向きを判断することが大切です。

>>【目立たない入れ歯】ノンクラスプデンチャーのメリットとデメリット

アタッチメント義歯・マグネット義歯で金具を目立ちにくくする

アタッチメント義歯やマグネット義歯は、残っている歯やインプラント側に小さな装置を取り付け、それと入れ歯側を「はめ込む」「くっつける」ことで固定するタイプの部分入れ歯です。代表的なものには、鍵と鍵穴のような構造のアタッチメントや、磁石で引き合う構造のマグネット義歯などがあります。

これらの方式では、固定の役割を果たす部分が歯の内側や根元に隠れるため、従来のような大きな金属のバネを外側に回さずに済み、正面から見たときの金属の露出を大幅に減らしやすい点が大きなメリットです。また、しっかりと「はまる」「吸い付く」ような安定感が出しやすく、噛み心地の向上や、発音のしやすさにもつながるケースがあります。

ただし、アタッチメントやマグネットを取り付けるために、残っている歯を被せ物で補強したり、インプラント治療を併用したりする必要が出てくることがあります。そのぶん治療期間や通院回数が増え、費用も自費診療として高めになることが多いです。また、装置の周りは汚れが溜まりやすいため、磨き残しが続くと虫歯や歯周病のリスクが上がる点にも注意が必要です。

「見た目と噛み心地の両方をしっかり良くしたい」「今の入れ歯がガタついてストレス」という方には魅力的な選択肢ですが、毎日のセルフケアや定期的なメンテナンスをきちんと続けられるかどうかも含めて、担当医と相談していくと安心です。

ブリッジ・インプラントなど「入れ歯以外」の選択肢も検討する

歯を失った部分を補う方法としては、部分入れ歯だけでなく、ブリッジやインプラントといった「入れ歯以外」の治療もあります。欠損本数や周囲の歯の状態によっては、入れ歯ではなくこれらの治療のほうが、見た目・噛み心地・長期的な安定性のバランスが良い場合もあります。

ブリッジは、失った歯の両隣の歯を土台として削り、その上に連なった被せ物を装着する方法です。固定式なので取り外しの手間がなく、金具も見えませんが、健康な部分の歯を削る必要があることがデメリットになります。インプラントは、あごの骨に人工の歯根を埋め込み、その上に被せ物や入れ歯を固定する方法で、周囲の歯を削らずに済む一方、外科的な処置が必要です。

こうした選択肢は、「金具を隠したいから入れ歯」という発想だけでは見落としがちですが、実はライフスタイルや将来の歯の残し方を考えるうえで大切なポイントになります。「自分には入れ歯しかない」と決めつけず、部分入れ歯・ブリッジ・インプラントなど複数の方法を並べて、それぞれのメリット・デメリットを聞きながら一緒に検討していくことが、後悔の少ない治療選びにつながります。

部分入れ歯の金具を自力で隠したいときのセルフケアと注意点

部分入れ歯の金具を自力で隠したいときのセルフケアと注意点

「歯医者に行く時間がなかなか取れないから、自分でなんとかしたい」と感じる方も多く、市販のコーティング剤やちょっとした工夫で金具を目立ちにくくできないか…と考えるのは自然なことです。ただし、自己流で金具をいじってしまうと、入れ歯やご自身の歯を傷めてしまう危険もあります。

ここでは、クラスプコートなど“塗って隠す”タイプの市販品の特徴と限界、自分で金具を触ることのリスク、そして今日からできるやさしいケアのポイントを整理して、ご自身でできること・歯科医院に任せるべきことを切り分けていきます。

クラスプコートなど「塗って隠す」商品の特徴

ドラッグストアやネットで見かける、クラスプコートなどの「入れ歯の金具を白やピンクに塗る」タイプの商品は、金具の表面を薄い膜で覆うことで、光の反射を抑え、歯や歯ぐきの色になじませることを目的としています。マニキュアのように筆で塗布し、乾くと薄い樹脂の膜が金具に密着するイメージです。うまく使えば、「今日は写真撮影がある」「人前で話す大事な場面がある」といったピンポイントのシーンで、金属のギラつきを一時的に和らげる助けになることがあります。

ただし、これらの商品はあくまで「表面に塗るコーティング」であり、クラスプ自体の形や太さが変わるわけではありません。

食事や歯みがきで少しずつ剥がれてくるため、こまめな塗り直しが必要になりますし、素材との相性によっては、浮いてきて段差ができたり、変色してかえって目立ってしまう場合もあります。また、厚く塗りすぎると、噛み合わせにわずかな干渉が出たり、汚れが付きやすくなることも。

使用前には取扱説明書をよく読み、「長期的に金具を隠す解決策ではなく、一時的に印象を和らげる補助的なアイテム」として捉えておくと、期待とのギャップが少なくなります。

自分で金具を曲げたり削るのは危険

見た目をよくしたい一心で、「もう少し内側に曲げれば見えないかも」「少し削れば細くなるかも」と、ペンチや爪切りのような道具で金具をいじりたくなることがあるかもしれません。しかし、これは入れ歯治療の現場でははっきり「危険」とされる行為です。

クラスプは、専門的な器具と計算された力加減で少しずつ調整するように設計されています。ご家庭の工具で無理に曲げてしまうと、金具の一部だけに強い力がかかり、ヒビ割れや折れの原因になります。また、わずかな角度の変化で支えのバランスが崩れ、入れ歯が外れやすくなったり、特定の歯だけに力が集中して、その歯がグラグラしてくることもあります。

さらに、金属をヤスリなどで削ると、表面がザラザラになり、舌やほほの内側を傷つけたり、汚れが付きやすくなったりと、別のトラブルにつながることもあります。最悪の場合、調整中に折れた金属片を誤って飲み込んでしまうリスクもゼロではありません。

見た目の悩みを解決したい気持ちは大切ですが、「金具そのものを触る調整」は必ず歯科医院で行うようにし、ご自身では触れないことが安全です。

毎日のケアや装着のしかたで目立ちにくさを保つポイント

金具そのものの形や位置を変えなくても、毎日のケアや装着のしかたを工夫することで、「余計に目立たせない」ことは可能です。たとえば、クラスプに茶渋やたばこのヤニなどの着色が付いていると、銀色部分と汚れのコントラストが強くなり、視線を引きつけてしまいます。やわらかいブラシで入れ歯専用歯みがき剤を使い、金具の根元まで丁寧に磨いてあげることで、清潔感のある自然な印象に近づけられます。

洗浄剤を選ぶときも、「金属対応」と表示されているものを選ぶと安心です。金属に合わない成分の洗浄剤を使うと、変色やくすみの原因になり、かえって目立ってしまうことがあります。また、装着時に入れ歯が少し浮いた状態で止まっていると、クラスプの位置がずれて普段より見えやすくなることもあります。毎回きちんと奥までカチッとはまっているか、鏡で確認する習慣をつけると、見た目も安定しやすくなります。

こうした小さな工夫の積み重ねは、すぐに劇的な変化が出るわけではありませんが、「なんとなく最近目立たなくなった気がする」「清潔感がある」と感じられる大切な要素です。ご自宅でできるケアはこの範囲にとどめつつ、「金具そのものを変えたい」と感じたときには、早めに歯科医院での相談につなげていきましょう。

部分入れ歯の金具が気になったら|歯科医院での相談の流れ

部分入れ歯の金具が気になったら|歯科医院での相談の流れ

「この金具、なんとかならないかな…」と思ったときに、いきなり治療方法を一つに決めてしまう必要はありません。まずは、今の入れ歯の状態とお口全体のバランスを確認しながら、「どこが一番気になるのか」「どこまで改善したいのか」を一緒に整理していくことが大切です。

カウンセリングで悩みを言葉にし、写真や模型で仕上がりのイメージを共有し、費用や通院回数の目安を確認したうえで、必要に応じて様々な選択肢を検討できます。

ここでは、実際に歯科医院で相談するときの流れをイメージできるようにご紹介します。

カウンセリングで「見た目の悩みと希望」を明確に伝える

最初のステップは、カウンセリングで今のお悩みをしっかり共有することです。

 「笑ったときにここが光って見える」「会議中に話しているとき、この角度が気になる」など、具体的なシーンを教えていただけると、歯科医師側もどこを優先して改善すべきかがより明確になります。

併せて、次のような点も伝えておくと、治療計画が立てやすくなります。

  • ・仕事柄、人前に出ることが多いかどうか
  • ・マスクを外す場面(会食・趣味・スポーツなど)がどのくらいあるか
  • ・予算のイメージと、「ここまでは自費も検討できる」というライン
  • ・通院できる頻度や、完成までにかけられる期間

「こんなことを言ったら恥ずかしいかな」と遠慮する必要はまったくありません。むしろ、正直な気持ちを言葉にしていただくほど、仕上がりのイメージに近づけやすくなります。

写真や模型を使ったシミュレーションで仕上がりを確認する

カウンセリングの内容を踏まえて、お口の中の写真撮影や型取り(スキャン)を行い、現在の状態を見える形にしていきます。必要に応じて、模型上でクラスプの位置を変えたパターンを確認したり、どの歯に金具をかけると正面からどの程度見えそうかを一緒にチェックしたりします。

医院によっては、デジタルシミュレーションを用いて、画面上で金具の位置や入れ歯の形を確認できる場合もあります。もちろん、シミュレーションはあくまで「目安」ではありますが、事前に「このくらいの見え方になりそう」という方向性を共有しておくことで、「思ったより目立つ」「こんなはずじゃなかった」というギャップを減らすことができます。

費用・保険適用・通院回数の目安を一緒に整理する

治療方法の候補がいくつか見えてきたら、それぞれの方法について、費用や保険適用の有無、通院回数の目安を一緒に整理していきます。たとえば、以下のようなイメージです。

  • ・保険の部分入れ歯をベースに、できる範囲で金具の位置や形を工夫する
  • ・特に見える部分だけノンクラスプデンチャーを選択し、他は保険で対応する
  • ・まずは保険の入れ歯で慣れつつ、将来的にインプラントや特殊義歯にステップアップする

このように、「段階的な治療プラン」を組み立てることも可能です。

一度にすべてを完璧にしようとすると、費用も通院の負担も大きくなりがちです。どのくらいの期間で、どこまでの改善を目指すのかを一緒に話し合いながら、「無理なく続けられる計画」を作っていくことが、不安を減らすうえでも大切です。

当院からのご提案:金具のいらないインプラントオーバーデンチャー

「できるだけ金具を見せたくない」「見た目も噛み心地も、もっとしっかり良くしたい」という方には、インプラントと入れ歯を組み合わせた「インプラントオーバーデンチャー」という選択肢があります。あごの骨に数本のインプラントを埋め込み、そのインプラントを土台として入れ歯を固定する方法で、基本的に目に見えるような金具を出さずに入れ歯を安定させることができます。

インプラントにカチッとはめ込む構造のため、一般的な部分入れ歯よりもガタつきが少なく、噛んだときの安定感や発音のしやすさが向上しやすいのが特徴です。一方で、外科処置が必要になること、治療期間が長めになる場合があること、自費診療で費用負担が大きくなりやすいことなど、事前に理解しておくべきポイントもあります。

「今すぐやる・やらない」を決めなくても、将来の選択肢として知っておくだけでも、今の入れ歯の位置づけや治療の優先順位が変わってくることがあります。詳しい内容を知りたい方は、インプラントオーバーデンチャー治療に専門的に取り組む当院のサイトもあわせてご覧ください。

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まとめ:部分入れ歯の金具を隠して、お口元に自信を

まとめ:部分入れ歯の金具を隠して、お口元に自信を

部分入れ歯の金具が見えてしまうと、「人前で思いきり笑えない」「写真に写るのが怖い」といった気持ちになりやすく、想像以上に日常生活の楽しみが削られてしまいます。

このページでお伝えしてきたように、「部分入れ歯の金具を隠す方法」といっても、実際にはいくつかの方向性があります。「見た目も、噛み心地も、将来の歯の残し方も」まとめて考えられるのは、やはり歯科医院での専門的な相談の場です。

同じ「部分入れ歯の金具を隠したい」というお悩みでも、最適な答えはお一人おひとり違うので、一人でインターネット情報を見比べて悩み続けるよりも、「自分の場合はどうだろう?」と一緒に考えてくれる歯科医師に相談することが、いちばんの近道になります。

「金具が気になって笑えない」というお悩みを、そのままにしておく必要はありません。気になることや不安な点があれば、気軽に歯科医院の相談・カウンセリングを活用してください。またインプラントオーバーデンチャーにご興味をお持ちの方は、ぜひ当院のカウンセリングをご利用ください。

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監修者情報

松井 泰隆  YASU DENTAL CLINIC 院長

東京歯科大学を卒業後、京都大学医学部附属病院で口腔外科を学び、その後審美歯科やインプラント治療を行う医療法人に勤務し分院長などを歴任。

 

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