
大阪府南部にお住まいの患者様です。すべての歯が重度の歯周病によって大きく揺れ、食事をすることが難しい状態となっていたため、インプラント治療のご相談で当院を受診されました。
かかりつけの歯科医院ではインプラント治療を行っていなかったため、治療可能な歯科医院への受診を勧められたとのことでした。
診査の結果、残っていた歯はすべて保存することが難しい状態でした。そのため、上顎は違和感を抑えた金属床総義歯、下顎は2本のインプラントで総入れ歯を固定するインプラントオーバーデンチャーで治療を行いました。
下顎の総入れ歯は、2本のインプラントを支えにすることで、臨床上ほとんど動かないほど安定しました。上顎にはインプラントを使用していませんが、金属床総義歯に十分な吸着が得られ、治療後は入れ歯安定剤を使用せずに、普段どおり食事ができる状態となりました。
治療前後比較(口腔内)

治療前は、残っている全ての歯が重度の歯周病によってグラグラと大きく動揺していました。
揺れている歯同士を接着材料で固定しては外れるという状態を繰り返しながら、何年も生活されてきたそうです。
上下の歯はほとんど噛み合っておらず、歯に力をかけることもできないため、食事が非常に困難な状態でした。
治療では、上顎を金属床総義歯、下顎を2本のインプラントで総入れ歯を固定するインプラントオーバーデンチャーで治療しました。
一般的に、総入れ歯は上顎よりも下顎の方が安定させることが難しく、食事中にガタガタと動きやすい傾向があります。
下顎の総入れ歯の内側には舌、外側には頬、前方には唇があります。下顎は、会話や食事の際に動く組織で全方向を囲まれているため、総入れ歯を安定させることが非常に難しい場所です。
そこで本症例では、下顎に埋入した2本のインプラントを支えにして、総入れ歯をしっかりと固定しました。これにより、下顎の総入れ歯は、食事の際にも全く動かないようになり安定させることができました。
上顎にはインプラントを使用していませんが、十分な吸着が得られるように設計した、違和感の少ない、強く吸着するような金属床総義歯で治療しています。
下顎の総入れ歯を2本のインプラントで固定し、上顎にも高い吸着が得られたことで、上下の総入れ歯が安定し、治療前と比べて劇的に食事を噛みやすい状態になりました。
治療前後比較(口元)

治療前は、揺れている歯同士を接着材料で繰り返し固定していましたが、歯の傾きや位置は次第にバラバラになり、歯並びだけでなく、口元の審美性も大きく損なわれている状態でした。
治療後は、総入れ歯の人工歯をきれいに並べるだけでなく、前歯の位置や義歯の形態によって唇を内側から適切に支え、口元のハリが回復するように調整しました。
その結果、乱れていたスマイルラインが整い、ほうれい線も目立ちにくくなり、治療前と比べて若々しく自然な笑顔を得ることができました。
治療前後比較(X線写真)

重度の歯周病によって、歯を支えている骨である「歯槽骨」が全顎的に著しく吸収していました。
残っていた22本全ての歯は、歯槽骨による支持をほとんど失い、歯茎の上に浮いているように見えるほど大きく揺れている状態でした。
歯周病検査やレントゲン検査などを行った結果、残っている全ての歯を保存することは困難な状況でした。
重度の歯周病を放置すると、歯を支える歯槽骨の吸収がさらに進みます。骨が大きく失われると、歯を残すことが難しくなるだけでなく、その後に行うインプラントや入れ歯治療の難易度も高くなり、選択できる治療方法が限られることがあります。
揺れている歯を無理に残し続けることが、必ずしも患者様にとって良い結果につながるとは限りません。将来の治療の安定性と選択肢を守るためにも、歯の揺れや噛みにくさを感じた段階で、早めに検査と治療を受けることが大切です。
治療前(口腔内)

上顎は奥歯をすでに失っており、残っている数本の前歯を中心に食事をしている状態でした。
本来は奥歯で支えるはずの噛む力が前歯に集中し、さらに重度歯周病によって歯を支える骨も大きく失われていたため、前歯はその負担に耐えられず、前方へ傾斜して外側に広がっていました。
いわゆる「出っ歯」のように前歯が突出し、歯の向きや位置も大きく乱れている状態です。
下顎は本数だけを見ると多くの歯が残っていましたが、ほとんどの歯が重度歯周病によって大きく揺れていました。
歯が残っていても、噛む力を支えられなければ、食事に必要な機能を果たすことはできません。本症例では、下顎の歯も食事の負担に耐えられないほど動揺しており、上下ともにしっかり噛める場所がほとんどない状態でした。
治療後(口腔内・総入れ歯なし)

治療後に、上下の総入れ歯を外した状態です。
上顎は歯が1本も残っていない「無歯顎」の状態です。上顎にはインプラントを使用せず、歯茎と上顎の形に合わせて精密に製作した金属床総義歯を、吸着させて使用します。
下顎には2本のインプラントを埋入し、その上に「ロケーターアタッチメント」と呼ばれる留め具を装着しています。
ロケーターアタッチメントは、衣服などに使われるボタンのような仕組みになっています。総入れ歯の内側に組み込まれたパーツと、インプラント側のロケーターが「パチッ」とはまり、下顎の総入れ歯をしっかりと固定します。
患者様ご自身で総入れ歯を取り外して清掃できますが、装着中は2本のインプラントが総入れ歯の浮き上がりや横揺れを抑えるため、外れることがなく安定してお食事を食べていただけます。
治療後(口腔内・総入れ歯あり)

上顎には、金属床総義歯を使用しています。
金属床総義歯とは、上顎の真ん中にあたる口蓋部分を金属で製作した総入れ歯です。強度の高い金属を使用することで、口蓋を覆う部分を1mm以下まで薄く設計でき、装着時の厚みや違和感を大幅に抑えられます。
一般的な樹脂製の総入れ歯は、強度を確保するために口蓋部分に2〜3mm程度の厚みが必要です。一方、金属床総義歯は薄くても十分な強度を確保できるため、口の中が狭く感じにくく、より自然な装着感を得やすくなります。
また、金属は熱を伝えやすいため、温かい料理の温かさや、冷たい飲み物の冷たさを感じやすいという特徴があります。食事の温度が伝わりやすくなることで、樹脂製の総入れ歯と比べて、食事本来の味わいを感じやすくなります。
上顎にはインプラントを使用していませんが、歯茎と上顎の形に合わせた精密な型取りと、空気が入りにくい義歯の設計によって、高い吸着力を得ています。
本症例では、上顎の総入れ歯に十分な吸着が得られたため、入れ歯安定剤を使用せずに、食事を楽しめるようになりました。
最後に
治療途中に、お孫さんが出来たりで中断した期間もありましたが、無事きちんと治療を終える事ができました✨
見た目も良くなり、食事に不自由しなくなり、とても喜んで頂きました✨
YouTube動画

| 年代・性別 | 60代女性 |
| 主訴 | 歯が揺れて、ご飯が噛めない |
| 治療内容 | 下顎インプラントオーバーデンチャー(ロケーターアタッチメント)、上顎金属床総義歯 |
| 費用 | 精密金属床義歯1装置50万(上顎),義歯用インプラント1本25万×2本,ロケーターアタッチメント6万×2,インプラントオーバーデンチャー専用金属床義歯50万(下顎) |
| 期間 | 2年 |
| リスク・副作用 | インプラントもご自身のブラッシングを行わないと歯周病になります。天然の歯同様ブラッシングを行い定期的なメンテナンスが重要です。この義歯はご自身で着脱でき、インプラント周囲の清掃が非常に簡単な為、メンテナンスしやすい工夫もされております。 |
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