歯茎の凹みの治療方法と
実際の症例
〜より自然な歯ぐき〜
どこから見ても分からない
セラミック
歯茎の凹みはなぜできるのか
歯茎の凹みには様々な原因がありますが、多くの場合「廃用性萎縮」が原因になります。
廃用性萎縮とは、人体の機能していない組織が痩せ細ってしまう現象のこと。身近な廃用性萎縮の例としては、以下のようなものがあります。
・宇宙飛行士が地球に戻ってきた時に筋力が著しく落ちてしまう
・骨折した手足のギブスを外すと痩せ細ってしまっていた
例と同様に、抜歯をして使われていなかった骨や歯茎も、萎縮しボリュームが少なくなってしまいます。
萎縮した歯茎の凹みにインプラントやブリッジの歯を入れても審美性は低く、いびつな形の不自然な歯になってしまいます。さらに歯の周りに汚れも溜まりやすくなる為、口臭や歯周病の原因にもなります。
- 前歯に3本ブリッジが入っていますが、歯がない真ん中の所の歯茎が萎縮しています。
そのため歯が長くなってしまい、審美的な状態ではありません。
- 横から見ると、ダミーの歯のない所は、歯茎が凹んでしまって段差になっています。
- ブリッジを除去した写真です。
歯茎の凹み、痩せてしまっているのが分かります。
- 除去したブリッジの内側には、痩せた歯茎の隙間から汚れが入り込み、大量の歯周病菌が付着していました。
つまり歯茎が凹んでしまうと、以下のようなことが起きるのです。
- ・不自然な見た目の歯になる
- ・汚れが溜まって歯周病になりやすくなる
- ・さらに口臭の原因にも
この解決策はただ一つ。
凹んでしまった歯茎を本来のボリュームに戻す事です。
結合組織移植Connective Tissue Graft
結合組織移植とは
- 結合組織移植(CTG:Connective Tissue Graft)とは、健康で丈夫な歯茎の組織を採取して、痩せた歯茎に移植する治療法です。
これにより、歯を失って痩せてしまった歯茎に、厚みとボリュームを増加させることができます。主に上顎の内側にある丈夫な歯茎(結合組織)から組織を採取して、前歯などの痩せてしまった凹み部分に移植します。
採取した丈夫な歯茎は、1ヶ月もすれば元通りに回復します。また健康な歯茎は再生能力が高いため、何度でも歯茎を採取することができます。採取することによる歯や歯茎へのダメージはないので、安心して治療を受けられます。
処置時間も50分程度と短く、術後に痛みや腫れがほとんど出ないのも、結合組織移植の特徴です。
結合組織移植の
メリット・デメリット
メリット |
デメリット |
- 歯茎が本来のボリュームに戻ることで、より見た目が自然になる
- 汚れが溜まりにくい(歯周病になりにくい)
- 歯茎が分厚くなり、痩せにくくなる
- 歯磨きなど自宅でのオーラルケアがしやすくなる
- 処置時間が短く、痛みや腫れがほとんどない
|
- 移植した歯茎が壊死する可能性がある
- 外科処置を受けなければならない(一時的に痛みや腫れが出る可能性)
- 歯茎を採取する部位が必要なので、手術部位が2ヶ所になる
- 保険適用外のため、費用がかかる
|
結合組織移植で
凹んだ歯茎を治療した症例
- 画像の黄色線の位置が、本来の健康な歯茎のボリュームです。
廃用性萎縮により、現在は歯茎が痩せて緑線の位置まで後退しています。
歯茎が凹んでいるのがよく分かりますね。
- 上顎の内側にある丈夫な歯茎(結合組織)を、凹み部分に潜り込ませるようなかたちで移植します。
ご自身の歯茎を移植するため、定着しやすく成功率が高い術式になります。
- 移植直後の写真です。
本来の歯茎のボリュームまで回復し、歯茎の凹み部分は無くなりました。
処置時間は50分程度で完了します。
- 歯茎の組織を移植する前後1ヶ月の、歯茎のボリュームの比較です。
移植後には、ふっくらとした歯茎のボリュームに回復し、歯茎の凹みがなくなりました。
痛みもほとんど出ることなく、術後の治癒が早いのも結合組織移植の特徴です。
- 画像の①の箇所を見ると、移植で歯茎がしっかりと膨れています。しっかりと膨れた歯茎を、本来の歯茎の形に整形するために、画像の②のように歯茎を削り込みます。
この歯茎の整形を行うことで、より自然な歯茎の形になり、ブリッジの中に汚れが入り込まない状態になります。
- 歯茎の整形が終わった後、セラミックのブリッジ を装着する直前の状態です。
歯茎に炎症はなく、綺麗な形に整っているのがわかります。
- 術後は、自然な歯茎の形態になり、歯茎に凹みは見て取れません。
どこから見てもブリッジが入っているのが分からないぐらい、綺麗に仕上がりました。
ブリッジの歯茎に関するさまざまなトラブル
Ⅰ.ブリッジの歯茎がぶよぶよする
ブリッジを装着していると、歯茎がぶよぶよする場合があります。この場合、歯茎に汚れが溜まって炎症が起きている可能性が考えられます。歯茎に炎症が起こっていると、歯周病が徐々に進行していきます。そうするとブリッジが長持ちしないだけでなく、歯を抜かなければならなくなる可能性も。
ブリッジを装着した歯茎が炎症を起こしてぶよぶよになっている原因としては、以下の2点が考えられます。
- ① ブリッジ自体の適合(フィット)が悪く、歯との間に隙間が空くことで汚れが溜まってしまい、歯茎に炎症が起きている可能性
- ② ブリッジの真ん中の歯茎が抜歯により痩せることで、ブリッジと歯茎の間に汚れが入り込みやすくなり、炎症を起こしている可能性
対策としては、以下の2点が良いでしょう。
- ① 精度の良い隙間が空かないブリッジを入れる
- ② 痩せた歯茎のボリュームを回復するため、歯茎の移植を行う
もちろんどちらも、当院で対応可能な治療となりますので、お気軽にご相談ください。
Ⅱ.ブリッジの歯茎が痛い・出血する・腫れる・痩せるなど
これらの症状も全て、歯茎に炎症が起きている(汚れが溜まっている)ことが原因です。
実はブリッジは、非常に高い精度や技術を要する治療になります。
一般的に保険診療では、「①型取りして」「②装着する」と、たった2回で治療が完了してしまいます。
対して綺麗な長持ちするブリッジを装着しようと思えば、以下の手順が必要になります。
- ① 仮歯をいれる
- ② きちんと歯磨きができて汚れが溜まらないかなどチェックする
- ③ 精密な型取りを行う
- ④ ブリッジのフレームの適合の確認
- ⑤ 色合わせの確認
- ⑥ 装着
このように、綺麗で長持ちするブリッジを装着するには、少なくとも6工程ほどが必要です。作業行程を怠ってしまうと、歯茎とブリッジの間に隙間が空いてしまい、汚れが溜まりやすくなります。汚れが溜まると、以下のようなトラブルの原因になる可能性も。
- ・歯周病になる
- ・虫歯になる
- ・歯茎が痛くなる
- ・歯茎が腫れる
- ・歯茎が痩せる
- ・歯茎から出血する
歯はそう何度も治療のやり換えに耐えられるようにはできていません。再治療を繰り返すと、歯はダメージを受け、抜歯の方向に進んでしまいます。
回数は少しかかりますが、一回できちっとしたブリッジを入れられる事をお勧め致します。
その他 結合組織移植の症例
結合組織移植の症例1
- 抜歯されたことにより、内部の骨が痩せてしまい歯茎が著しく痩せてしまっています。
- 上顎の内側にある丈夫な歯茎を採取し、痩せた歯茎の中に移植を行いました。
移植した直後から歯茎のボリュームが増えているのがわかります
- 移植後、1ヶ月後の状態です。
歯茎は安定し、本来のボリュームまで回復できました。
結合組織移植の症例2
- 10年以上前行った抜歯で、歯茎が痩せてしまっています。また汚れが溜まりやすい状態で歯周病にかかっていました。
- 歯周病治療を行った後に、歯茎の移植を行いました。
歯茎は、通常よりも多く増えている状態です。
- 移植後3ヶ月後の状態です。歯茎のボリュームが増えているのが分かります。
また増やした歯茎の部分は、より自然なブリッジにするために歯茎の整形を行っている状態です。
結合組織移植治療費用
77,000〜110,000円(税込)