『セラミックは欠けたり割れたりすることがあるって本当?』
『セラミックが欠けてしまった場合はどうすれば良いんだろう?』
保険診療の素材にはない審美性の高さや耐久性の高さがメリットに挙げられるセラミック。虫歯を削った歯の詰め物や、歯の審美性を高める目的でセラミックを被せ物として使用するセラミック矯正など、さまざまな用途で使用されます。
そんなセラミックですが、欠けたり割れたり外れてしまったり(破折・脱離)することはあるのでしょうか?また破折・脱離してしまった場合には、どうすれば良いのでしょうか?
- 破折・脱離の原因
- 破折・脱離への対処法
このページでは、セラミックが破折・脱離してしまう原因や対処法についてご説明いたします。今後セラミック治療を検討されている方は、このページをご覧いただくことで、破折・脱離を防ぐための注意点や、万が一破折や脱離を起こしてしまった場合の対処法を知って頂けると思います。
また当院では、他院で行ったセラミック矯正のやり直し(リカバリー)を専門的に行っております。何度セラミックを入れ直しても破折してしまう、噛み合わせに違和感が生じている、セラミックにした箇所が虫歯になってしまったなど、お悩み・ご不満をお持ちの方は、ぜひ一度当院の無料カウンセリングへお越しください。
セラミックは欠けたり割れたり外れることがある?
セラミックの特徴として、表面がツルツルとしていてプラークが付きにくい点や、審美性に優れる点が挙げられます。そしてなにより、一般的な保険診療の素材と比べて、強度に優れて劣化しにくい点が大きなメリットとして知られています。
そんなセラミックですが、『絶対に欠けたり割れたりしない』というわけではありません。セラミックは確かに硬く耐久性に優れた素材ですが、過度な力がかかったり、さまざまな理由によって欠けてしまう場合があります。
また欠けや割れ以外にも、セラミックの土台になっている歯が虫歯になった場合などは、セラミックが外れてしまうこともあります。
セラミックの破折・脱離が起きる7つの原因
ここでは、セラミックが欠けたり割れたり(破折)、外れたり(脱離)する原因について解説させていただきます。
- 歯ぎしりや食いしばりの癖がある
- 噛み合わせが悪い状態になっている
- 虫歯(二次カリエス)や歯周病の進行
- 接着剤が劣化した
- ハイブリッドセラミックを使用している
- 硬い食べ物を食べて瞬間的に強い力が加わった
- 転倒や衝突などの外傷によるもの
以下でそれぞれ詳しく解説します。また既にセラミックが破折や脱離している方、セラミックに問題を抱えている方は、この後に対処法などもお伝えしますので、是非そちらもご覧下さい。
①歯ぎしりや食いしばりの癖がある
セラミックが割れる原因の大部分が、実は歯ぎしりや食いしばりによるものです。歯ぎしりや食いしばりは、普通に食べ物を噛む際と比べて、非常に大きな力がかかります。
普通に食事をするくらいの力であればセラミックにはほとんど影響がありませんが、歯ぎしりや食いしばりの強い力がかかると、セラミックが欠けたり割れる場合がございます。
また同様の理由でセラミックだけでなく天然歯も破折することがあるため、歯ぎしりや食いしばりがある方は、後述するナイトガードなどの対策が必要になります。
②噛み合わせが悪い状態になっている
噛み合わせが悪いことも、セラミックが破折する原因です。噛み合わせが悪いと、セラミックに強い力が加わり、欠けたり割れたりすることがあります。
噛み合わせの調整は非常に繊細で、高い技術や豊富な経験・知識が求められます。また、実際にセラミックの被せ物を制作する歯科技工士の技術力も問われます。そのため当院では日本有数のセラミック専門歯科技工士と、噛み合わせ専門医の院長が密に連携をとりながらセラミック治療を行っております。
③虫歯(二次カリエス)や歯周病の進行
セラミック治療をした歯が虫歯(二次カリエス)や歯周病になってしまうと、セラミックが破折・脱離することがあります。
セラミックの土台の歯が虫歯になってしまうと、セラミックの被せ物や詰め物との適合が悪くなり、セラミックが破折する原因になります。また歯周病が悪化し歯肉が下がると、歯の根元が虫歯になる根面う蝕と呼ばれる状態になるリスクがあります。マージン(セラミックの縁)の部分にまで根面う蝕が進行した場合、セラミックの脱離が起きる可能性もあります。
④接着剤が劣化した
セラミックの被せ物や詰め物を装着する際には、歯科用の接着剤を使用します。歯科用の接着剤は長期間劣化しにくく接着力も非常に高いですが、マージン(セラミックの縁)の隙間から少しずつ唾液に接着剤が流出してしまうと、徐々に接着剤が劣化してしまいます。
当院では接着剤の劣化を防ぐ為に、マージンに隙間を作らないような、精密な詰め物・被せ物の制作を行っております。
⑤ハイブリッドセラミックを使用している
セラミック治療で使用するセラミックにはさまざまな種類がありますが、『ハイブリッドセラミック』と呼ばれる、レジン(歯科用プラスチック)とセラミックを混ぜ合わせた素材は、劣化しやすく破折・脱離しやすい特徴があります。
レジンは歯科用の樹脂とも言われ、主に保険診療で使用されており、低コストで扱えるという利点があります。しかしレジンは柔らかいため数年ですり減ってしまったり、見た目にも黄色く変色してしまったりと、経年劣化しやすくデメリットも多い素材です。
ハイブリッドセラミックは、レジンにセラミックを混ぜ合わせた素材です。レジンを使用する為、他のセラミックと比べると費用が安くなりますが、経年劣化しやすい点などレジンのデメリットを併せ持っています。
デメリットを正確に把握されずにハイブリッドセラミックを選択してしまうと、被せ物の破折や脱離に繋がるため、注意が必要です。ハイブリッドセラミックはデメリットが多い為、当院では取り扱いを控えさせて頂いております。
⑥硬い食べ物を食べて瞬間的に強い力が加わった
セラミックは耐久性のある素材ですが、衝撃には弱いという性質があります。そのため、極端に硬い食べ物を食べたりすると、セラミックが欠けたり割れたりすることがあります。特に歯ぎしりや食いしばり癖のある方は、セラミックに目に見えない細かなヒビが入っていることがあり、硬い食べ物を噛んだことがきっかけで欠けてしまうことがあります。
普段のお食事でセラミックが破折することは滅多にありませんが、硬い物を噛む際にはなるべくセラミックの歯を避けて噛むなど、できるだけ注意していただくようにお願いしております。
⑦転倒や衝突などの外傷によるもの
上述の通り、セラミックは衝撃には弱い性質があります。スポーツで強い衝撃が加わったり、転倒して歯をぶつけてしまうと、セラミックが破折することがあります。
特に前歯については、外傷により受傷しやすい部位の為、転倒や衝突した際に土台の歯ごと破折してしまう可能性があります。普段の転倒などは対策が難しいですが、スポーツをする際などは、スポーツ用のマウスピースなどをご使用いただくことをお勧めしております。
セラミックが割れたり欠けたらどうしたらいい?
セラミックが欠けたり割れた場合、また外れてしまった場合には、そのまま放置せずにセラミックの修理や再装着、作り直しをする必要があります。
ここからは、セラミックが破折・脱離した際の対処について、直後に行うべき対処と、破折・脱離を繰り返さないための対処について、それぞれお伝えしてきます。
セラミックの破折・脱離の直後に患者様が行うべき5つの対応
今まさにセラミックが破折・脱離して困っているという方は、ぜひこちらを参考にしてください。セラミックの破折・脱離直後には、以下の5つの対応を行ってください。
- できるだけ早く歯科医院を受診してください
- 自力でセラミックを口の中に戻さない
- 破折・脱離したセラミックは保管する
- お口をなるべく清潔に保つ
- 刺激の強い食べ物は控える
以下でそれぞれより詳しく説明いたします。
①できるだけ早く歯科医院を受診してください
まず大前提ではありますが、セラミックが破折・脱離した際には、すぐに歯科医院を受診してください。
セラミックが破折・脱離した方の中には、神経を抜いてしまっているので、痛みや違和感がなく来院が遅くなったり放置してしまう患者様も多くおられます。しかしセラミックが破折・脱離した歯は象牙質が露出しており、健康な歯と比べて虫歯の進行が非常に速いため、すぐに対処する必要があります。
破折・脱離が起きた場合はすぐにセラミック治療を受けたかかりつけ医の予約を取る、かかりつけ医に相談できない場合は、お近くの歯科医院で「セラミックの被せ物・詰め物が破折・脱離した」旨をお伝えください。
②自力でセラミックを口の中に戻さない
セラミックが破折・脱離した際は、絶対にご自身でセラミックを口の中に戻さないようにご注意ください。
患者様の中には稀に、家庭用の接着剤を用いてご自身でセラミックを修復しようとされる方がおられます。家庭用接着剤を用いてご自身でセラミックを修復すると、正確な位置にセラミックを装着できずに噛み合わせがおかしくなってしまったり、歯科医院でも取り外すのが困難になり、セラミックの再装着を行う事ができなくなる事があります。
当たり前ではありますが、家庭用接着剤は口腔内に使用する為に作られていません。誤って接種した際に体に悪影響が及ぶ可能性があります。また眠っている間に外れてしまい、誤飲する危険性もございます。
③破折・脱離したセラミックは保管する
破折・脱離したセラミックは保管し、歯科医院を受診する際にご持参ください。取れてしまったセラミックは口からすぐに出し、水洗いした後に乾かした状態で、歯科医院の受診日までなくさないように保管してください。
④お口をなるべく清潔に保つ
上述した通り、セラミックが破折・脱離した歯は象牙質が露出しており、健康な歯と比べて虫歯の進行が非常に速くなります。なるべく早く歯科医院で対処する必要がありますが、受診するまでの間に少しでも虫歯のリスクを減らす為には、お口の中をなるべく清潔に保つことが大切です。
食後にきちんと歯磨きを行い、なるべく間食を避けていただき、間食した場合は再び歯磨きをしてください。欠けてしまったセラミックの周辺は、あまり力をこめずに丁寧に汚れを取り除くようにブラッシングすることで、受診日までお口の中の衛生環境を維持しやすくなります。
⑤刺激の強い食べ物は控える
セラミックが破折・脱離した際は、なるべく刺激の強い食べ物は控えましょう。特にセラミックの土台の歯が生活歯(神経の残っている歯)の場合、破折・脱離した箇所から刺激が伝わり、痛みを感じたりしみる場合があります。
過度に甘いものや辛いもの、また熱いものや冷たいものを避けて、なるべく常温の飲食物を摂るようにして下さい。
セラミックの破折・脱離を繰り返さないために
セラミックの破折・脱離を起こさない為には、いくつか押さえておくべきポイントがございます。
セラミックは経年劣化しにくく耐久性の高い素材ですが、適切なケアを行えていなければ、長持ちしません。特にこれまで何度もセラミックが破折・脱離しているという方は、何か問題を抱えられていることが予想されます。これまでと同じように再治療を行っても、今まで通りの過ごし方を続けられると、またセラミックの破折・脱離を繰り返すことになる可能性が考えられます。
そこでここでは、セラミックの破折・脱離を起こさない、繰り返さない為に患者様ご自身で注意できる3つのポイントをご紹介いたします。
- 定期的にメンテナンスを受ける
- ナイトガード(マウスピース)を使用する
- セラミックの材質の変更や作り直しを行う
以下でそれぞれより詳しく説明いたします。
①定期的にメンテナンスを受ける
セラミック治療後には必ず定期的に歯科医院でのメンテナンスを受診していただくようにお願いしております。メンテナンスでは、セラミックの状態や噛み合わせの確認、またクリーニングなどを行います。
定期的なメンテナンスを受けることで、噛み合わせの調整やクリーニングにより、セラミックの破折・脱離が起きる可能性が下がります。またセラミックに保証を設けている歯科医院もありますが、保証の条件として定期的なメンテナンスの受診が含まれていることも多いです。セラミックを長持ちさせたい、破折・脱離をなるべく防ぎたい方は、定期的なメンテナンスを欠かさず受けることをお勧めしております。
②ナイトガード(マウスピース)を使用する
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、ナイトガードと呼ばれる睡眠時用のマウスピースを使用することで、セラミックにかかる負荷をある程度軽減することができます。
歯ぎしりや食いしばりの癖は、セラミックだけでなく天然歯にも負担をかけてしまい、顎関節症などの原因にもなります。ナイトガードは歯科医院で数千円で作成できるため、セラミック治療後はぜひナイトガードをご使用ください。
③セラミックの材質の変更や作り直しを行う
セラミックの破折・脱離を何度も繰り返している場合、セラミックの材質の変更や作り直しを検討する必要がございます。
例えばセラミックの材質として、上述したようなハイブリッドセラミックを使用している場合、経年劣化や摩耗によって破折・脱離している可能性があります。
また使用している材質には問題がなくても、歯科医師が噛み合わせの調節などに必要な技術を習得していない場合は、同じ歯科医院で何度修理や調整を行っても、結局破折・脱離を繰り返してしまうことが予想できます。
そのため、何度もセラミックの破折・脱離を繰り返してしまう場合、セラミックの材質の変更や、別の歯科医院でセラミックの再治療を検討するのが最良です。
当院では、難易度の高い『セラミックの再治療』を専門的に行っております。セラミックの歯をリカバリーするのは非常に難易度が高く、どの医院でもできるような治療ではありません。当院では日本有数のセラミック専門歯科技工士と、噛み合わせ専門医の院長が密に連携をとりながらリカバリー用の被せ物を制作することで、これまで何症例もの難易度の高いセラミックの再治療を手掛けております。
まとめ:当院では他院で行ったセラミックの再治療を専門的に行っています
このページでは、セラミックが欠けたり割れたり外れたりしてしまう原因や、実際に破折・脱離した際の対処法についてご紹介しました。
セラミックが破折・脱離してしまう原因として最も多いのが、歯ぎしりや食いしばりの癖、噛み合わせの問題によるセラミックへの過剰な負荷によるものです。治療後数年が経ってから、対合する歯が削れてきたりすることが原因で、噛み合わせに違和感が生じることもございます。治療後すぐでも、治療から数年後でも、患者様が噛み合わせに違和感を感じたタイミングで歯科医院を受診してメンテナンスを行うことが、セラミックの破折や脱離を防ぐ為には重要です。
それ以外にもさまざまな原因でセラミックが破折・脱離することがありますが、定期的に歯科医院でメンテナンスを行いながら、日々の小さな違和感も歯科医師に相談することで、ある程度までセラミックに問題が起きるリスクを軽減することが可能です。
何度もセラミックの破折・脱離を繰り返している場合は、思い切ってセラミックの材質の変更、また別の歯科医院でセラミックの再治療を検討するのが最良です。
当院では、難易度の高い『セラミックの再治療』を専門的に行っております。セラミックの歯をリカバリーするのは非常に難易度が高く、どこの医院でもできるような治療ではありません。当院では日本有数のセラミック専門歯科技工士と、噛み合わせ専門医の院長が密に連携をとりながらリカバリー用の被せ物を制作することで、これまで何症例もの難易度の高いセラミックの再治療を手掛けております。