ここ数年、インターネットを中心に『入れ歯女子』という言葉を耳にすることが増えてきました。入れ歯女子とは、20代〜40,50代くらいまでの、若くして入れ歯になってしまった女性の呼び方です。昔から若くして入れ歯になってしまう方は多くおられましたが、最近はそういった方がYoutubeなどでご自身の体験談を発信したりすることもあるようで、若くして入れ歯になってしまう人もいるということが広く認知されるようになり、『入れ歯女子』という呼び名が定着したようです。
実は当院にも、まだ20代で歯列全体がボロボロになってしまい、入れ歯を検討されているという方がご来院くださったことは何度もございます。
そんな入れ歯女子の方々や、入れ歯女子”予備軍”の方は、私の体感としては年々少しずつ増えてきているように思います。歯科医療が発展している現代でも、若くして入れ歯になってしまう方が増加している原因は何なのでしょうか?
実はその原因の一つには、当院でも行っている『セラミック矯正』が挙げられます。
このページでは、なぜセラミック矯正が入れ歯女子の方々が増えている原因になるのか、また若くして入れ歯になるのを防ぐ方法などをご紹介いたします。
若くして入れ歯になる原因はセラミック矯正?
近年『入れ歯女子』と呼ばれる、若くして入れ歯になってしまう方が増えている原因の一つには、過去に行ったセラミック矯正が原因に挙げられます。
セラミック矯正は当院でも積極的に行っている治療ですが、なぜセラミック矯正が入れ歯女子増加の原因になっているのでしょうか?まずはセラミック矯正とはどういった治療なのか、簡単にご説明させていただきます。
セラミック矯正とは
セラミック矯正は、元々の自分の歯の上にセラミックの被せ物を被せて、歯の形や大きさ、向き、色などを整える治療方法です。従来のワイヤー矯正やマウスピース矯正と比べて、手軽に素早く歯列の見た目を綺麗にすることができるため、近年人気が高まっています。『クイック矯正』という名前で呼ばれることもあります。
セラミック矯正は歯を動かす訳ではなく、歯を削ってその上にセラミックの被せ物を被せるので、厳密には矯正治療というより審美治療というのが適しているかもしれません。
歯を動かすワイヤー矯正やマウスピース矯正での治療が1年〜3年ほどかかるのに対して、セラミック矯正は1ヶ月〜2ヶ月もあれば治療が完了します。
セラミック矯正が原因で入れ歯になる理由とは
さてここからはいよいよ、セラミック矯正が原因で若くして入れ歯になる、という理由をご説明いたします。
『セラミック矯正が原因で若くして入れ歯になる』というのは、セラミック矯正をした歯の状態が悪くなってしまい抜歯に至ったり、周囲の歯に悪影響を及ぼしてしまうことで、結果的に入れ歯にせざるを得ないほど歯列全体の状態が悪くなってしまうということです。
ではなぜセラミック矯正が原因で、入れ歯が必要なほど歯の状態が悪くなったり、周囲の歯にまで悪影響を及ぼしたりするのでしょうか?
①セラミック矯正した歯が虫歯になった
セラミック矯正では、歯を削ってその上にセラミックでできた被せ物を被せます。この際に被せ物と歯がピッタリと重なり、隙間が出来ないように丁寧に治療を行う必要があります。
しかし何らかの理由で被せ物と歯の間に隙間が出来てしまうと、被せ物の内側に汚れが溜まってしまい、虫歯の原因になります。
被せ物と歯の間に隙間が出来てしまう原因は、以下のものが考えられます。
- 削った歯と被せ物の形状が合っていない
- 治療後に噛み合わせの負荷で被せ物がズレた
セラミック矯正があまり得意ではない、もしくは丁寧な治療をされていない歯科医院で治療を受けた結果、被せ物と歯の間に隙間が生まれてしまうことがあります。また定期的なメンテナンスを受けていないなどの理由で、噛み合わせの負荷でズレた被せ物がそのままになってしまう、ということが考えられます。
このような理由でセラミック矯正した歯が虫歯になり、口腔内の衛生環境が悪くなると、周囲の歯も虫歯になったり歯周病になってしまう、というような悪循環に陥る危険性もあります。
②セラミック矯正で歯を削りすぎたり神経を抜いてしまった
通常、セラミック矯正を行う際には、必ず歯を削る必要があります。ただし歯を削ると歯の寿命を縮めることになるため、なるべく歯を削る量を少なくするような工夫が必要です。
また大きく歯を削ると歯髄(神経)が露出してしまうため、歯髄を抜いてしまう場合もあります。しかし歯髄には神経と血管が含まれているため、歯髄を抜いてしまうと歯に栄養が届かなくなるため、歯が脆くなり大幅に寿命が縮んでしまいます。
当院のようにセラミック矯正を専門的に行っている歯科医院には、歯を削る量を最小限に抑えたり、極力抜髄をしなくていいような治療を行えるだけの知識や技術があります。しかし全ての歯科医院がそうではなく、セラミック矯正に不慣れな歯科医院で治療を行った結果、歯を削りすぎて歯が脆くなり、数年後に歯が寿命を迎えてしまったというようなケースもございます。
③噛み合わせが悪くなってしまった
セラミック矯正を行う際には、審美性を優先しすぎてしまう治療が行われる場合があります。患者様のご要望もとにかく審美性を高めたいという場合が多く、その結果、噛み合わせや清掃性などの機能面を後回しにしてしまう症例を見かけることがあります。
もちろん、見た目を綺麗にするためのセラミック矯正なので、審美性は大切ですが、機能性の伴わないセラミック矯正を行ったことで抜歯に至るようなケースもございます。
例えば見た目だけを重視して、噛み合わせがあっていないセラミック矯正をしてしまうと、将来的に歯列全体にさまざまなトラブルが発生します。特に歯ぐきに負担が掛かりやすく、歯ぐきが炎症を起こしてしまうことが多いです。さらに炎症が発端となり歯肉退縮が起きると、虫歯や歯周病のリスクが高まり、抜歯に至る原因となります。
また、審美性の高さだけを追求した結果、清掃性が低くなってしまうケースもございます。歯磨きがしにくい形態になっていたり、フロスや歯間ブラシが入る隙間がなかったりと、お口の衛生環境が悪くなりやすい状態を作ってしまい、結果として虫歯や歯周病を引き起こすことで、抜歯に至る原因となってしまいます。
④メンテナンスを怠って再治療を繰り返した
セラミック矯正をした方には、ご自宅での丁寧なお口のケアと、定期的な歯科医院でのメンテナンスが欠かせません。こういったことを欠かした結果、セラミック矯正の寿命が短くなり、本来10年20年と使用できたはずのセラミックが数年でダメになってしまう場合があります。
この場合、セラミック矯正の再治療を行うことになりますが、再治療の際には被せ物を作り直し、それに合わせて歯も削り直すことになります。歯は削れば削るだけ寿命が縮んでしまうため、何度もセラミック矯正の再治療を行うことはできません。
またメンテナンスを怠って状態が悪くなったセラミックの被せ物を使い続けることで、より一層状況が悪くなり、セラミックの歯や周囲の天然歯に本来以上の負荷がかかることもあります。こういった状態が続くことで、歯列全体の状態が悪くなり、抜歯に至るようなケースになることもあります。
全てのセラミック矯正が悪いわけではありません
ここまで、若くして入れ歯が必要になってしまう原因の一つには、セラミック矯正が挙げられるというお話をさせていただきました。ただし一つご理解いただきたいのは、当院ではセラミック矯正そのものが悪い治療だとは全く考えておりません。
セラミック矯正の技術に優れた歯科医院で適切な治療を受け、治療後も患者様と歯科医院が一丸となってメンテナンスに取り組むことで、『入れ歯女子』になってしまうような問題を起こさずに、長くセラミックの歯を維持し続けることは十分に可能だと当院では考えています。
当院のセラミック矯正は『一生物のセラミック』をコンセプトに、できる限り歯列の健康を守り長持ちさせるために、丁寧でなるべく歯を削らず神経も抜かない治療を志しています。
また他院で行ったセラミック矯正の予後が悪い方のために、大変難易度の高い治療にはなりますが、セラミック矯正のやり直し(再治療)にも積極的に取り組んでいます。適切な治療と、その後のメンテナンス次第で、セラミック矯正は素晴らしい治療にも、抜歯に至る原因にもなり得ます。
セラミック矯正をして後悔してしまうような事例や、後悔しないための対策については、こちらのページでご紹介しておりますので、併せてご覧ください。
セラミック矯正をした歯の調子が悪いと感じたら
セラミック矯正をした歯の調子が悪いと感じた際には、すぐに歯科医院を受診していただくことが大切です。
- セラミック矯正の歯が痛い
- 歯茎が腫れていたり膿が出たりする
- セラミックの被せ物が欠けている
- セラミックの被せ物が外れてしまった
- 噛み合わせが悪くなった気がする
このような場合には、すぐに歯科医院を受診しましょう。簡単なメンテナンスや治療だけでも、セラミック矯正の不調を治し、将来抜歯に至るような状況を改善できる場合があります。
当院では他院で行ったセラミック矯正のリカバリー治療(再治療)を専門的に行っております。セラミック矯正のやり直しは難易度の高い治療のため、どこの歯科医院でも行えるというわけではありません。当院ではセラミック矯正のリカバリーを専門的に行っておりますのでご安心ください。すぐに再治療を行うことで、抜歯に至るような最悪の事態を回避できる可能性があります。
セラミック矯正の再治療を行えないケースの対応について
当院では、他院で行ったセラミック矯正のリカバリー治療(再治療)を専門的に行っておりますが、受診いただいた時にはすでに再治療ができない状態になってしまっている場合もございます。
そういったケースの中でも特に重症だと、歯列全体がボロボロになってしまい、入れ歯も視野に入れなければならないことがあります。これまでこのようなケースで、いわゆる『入れ歯女子』『入れ歯男子』になった方もおられます。
まだお若いうちから入れ歯というのは受け入れ難いという方も多いかと思いますが、現在は歯科治療の技術の発展もあり、入れ歯もさまざまな進化を遂げております。当院では、若くして入れ歯が必要になった方に特におすすめのインプラントオーバーデンチャーという治療をご提供しております。
入れ歯の不快症状を解消できるインプラントオーバーデンチャー
インプラントオーバーデンチャーとは、顎の骨に埋め込んだインプラントを、総入れ歯または部分入れ歯の固定源に用いることで、入れ歯をしっかりと固定して安定させる治療法です。
インプラントを固定源に用いることで、入れ歯の主な不快症状である、入れ歯が外れる、ガタガタ動いてしまう、食べ物がしっかり噛みきれない、歯茎が痛い、といったことを解消します。
『入れ歯だとしっかり食事が噛めないんだろうな』
『人前で入れ歯が突然外れてしまったらどうしよう』
インプラントオーバーデンチャーでは、このような入れ歯特有のご不安を解決することが可能です。当院のインプラントオーバーデンチャーはステーキを噛み切ったり、りんごを丸かじりできるくらい、しっかりと安定させることができます。
また最小1本のインプラントで入れ歯を固定することができるため、通常の入れ歯よりは費用が高くなりますが、何本もインプラントを入れるような治療を比べると費用負担も下がります。
当院ではセラミック矯正の再治療だけでなく、再治療が難しい患者様や残念ながら天然の歯を残すには手遅れになってしまった患者様のために、インプラントオーバーデンチャーをはじめとした治療を複数ご用意しております。セラミック矯正の調子が悪い、他院で再治療が必要だと言われたという方は、当院の無料カウンセリングをぜひご活用ください。
まとめ:手遅れになる前の再治療のご相談をお願いします
最近話題の『入れ歯女子』ですが、若くして入れ歯になってしまう方が多い一因として、セラミック矯正が挙げられると、当院では考えております。
全てのセラミック矯正が悪いわけではもちろんありませんし、当院でも自信を持ってセラミック矯正をご提供しております。しかし全ての歯科医院が、高い水準のセラミック矯正を行えるとは限りません。セラミック矯正を受けたことがきっかけで、天然歯にさまざまな問題が起きてしまいお困りの患者様が、当院にも数多くご相談にお越し頂きます。
また例えセラミック矯正の治療そのものはうまくできていても、その後のメンテナンスを怠ったり、自宅でのお口の清掃が不十分だと、治療後数年で天然歯に大きな問題が起きてしまう場合もございます。
セラミック矯正の後に歯に違和感を感じた場合は、すぐに歯科医院を受診してください。初期の症状であれば、簡単なメンテナンスや治療だけでも、セラミック矯正の不調を治し、将来抜歯に至るような状況を改善できる場合があります。
もしも患者様の目から見て、根本からの治療のやり直しが必要と思われる場合は、当院にご相談いただくのも視野に入れていただくと良いかと思います。
当院では他院で行ったセラミック矯正のリカバリー治療(再治療)を専門的に行っております。セラミック矯正のやり直しは難易度の高い治療のため、どこの歯科医院でも行えるというわけではありません。当院ではセラミック矯正のリカバリーを専門的に行っておりますのでご安心ください。すぐに再治療を行うことで、抜歯に至るような最悪の事態を回避できる可能性があります。
また、再治療が難しい患者様や残念ながら天然の歯を残すには手遅れになってしまった患者様のために、インプラントオーバーデンチャーをはじめとした治療を複数ご用意しております。セラミック矯正の調子が悪い、他院で再治療が必要だと言われたという方は、当院の無料カウンセリングをぜひご活用ください。