プロローグ

その女性が初めて当院を訪れたのは、昨年の春頃のことでした。
京都府北西部にお住まいの30代の女性。前歯7本のセラミック治療を受ける予定で、すでに他院で仮歯の装着まで進んでいましたが、その状態に強い不安を感じ、片道2時間をかけてご相談に来られました。
「今の仮歯のまま、もう型取りしてセラミックを入れると言われて。でも、どうしても不安で…」
そう語られた彼女の表情には、不安と戸惑いがにじんでいました。
審美目的で始めた治療でしたが、提示された費用は100万円以上。決して軽く決断できる金額ではありません。
「せっかく高額なお金をかけて治療をするのだから、絶対に失敗したくない」
——その思いで勇気を出して来院されたとのことでした。
初診時の状態

実際に拝見した仮歯は、歯の長さが左右で不揃いで、全体のバランスにも乱れが見られました。
スマイルラインは不自然に崩れ、歯間の調和や対称性も欠けており、見た目に大きな違和感がある状態でした。
さらに、仮歯の縁の部分が歯肉内に設定されておらず、歯の根が見えており、とても審美的なセラミックが入る状態ではありませんでした。
歯肉の腫れや発赤も確認でき、この状態での型取りは、審美面だけでなく歯肉の健康を損なうリスクがあると判断しました。
「毎日鏡を見るたびに、これが完成形になるの?と不安で仕方なかったんです。なのに“これで本歯を作ります”って言われて…もう信じていいのか分からなくなってしまって。」
仮歯は、最終のセラミックの完成度を左右する大切な“設計図”です。その時点で違和感があるということは、最終的な仕上がりにも問題が生じる可能性があるサイン。その女性はその感覚を信じ、当院を訪れてくださいました。
セラミック矯正の「落とし穴」—なぜトラブルが起きてしまうのか?
「たった2回で歯が綺麗になる」
「短期間で理想の笑顔になれる」
そうした言葉に惹かれ、セラミック矯正を選ぶ方は少なくありません。確かに、見た目が短期間で整うという点では魅力的かもしれません。しかしその一方で、以下のようなトラブルが後を絶たないのが現実です。
・セラミックの色が周囲の歯と合わない
・歯の形が不自然で、天然歯のように見えない
・前歯が前方に突出し、出っ歯のような印象に
・フロスが通らず、臭いや炎症が生じる
・噛むと痛い、違和感がある
・歯茎が腫れ、歯周病が進行してしまう
これらの背景には、「仮歯の設計不足」「支台歯形成の不備」「咬合や歯肉との調和を無視した型取り」など、工程を省いたまま急ぎすぎる治療の問題があります。
本来のセラミック治療とは、繊細で丁寧なプロセスの積み重ね
セラミック治療とは、本来非常に繊細で高度な医療行為です。
丁寧に歯を削り、仮歯を作成し、何度も調整を重ねながら歯茎の形・位置・ラインとの調和を見て進めていくものです。理想的な仕上がりには、時間と手間、そして細やかな確認作業が不可欠です。

今回のケースでは、当院で仮歯を一から再設計し、歯冠長延長術(クラウンレングスニング)を行って歯茎の高さを整えました。そこから4ヶ月間の治癒期間を設け、歯肉が安定するまで何度も仮歯の調整を重ね、ようやくセラミックの型取りへと進める状態にまで整えました。

最終的に装着したセラミックは、透明感・艶・色味のすべてが天然歯のように自然で、健康的な歯茎との調和もとれた美しい仕上がりになりました。
治療を終えた彼女は、「ようやく心から笑えるようになった」と、とても喜んでくださいました。
「短期間で完成する」ではなく、「一生納得できる仕上がり」を
セラミック矯正は決して悪い治療ではありません。しかし、工程を省略することでトラブルを招きやすいのも事実です。歯は、一生に関わる大切な器官。だからこそ、丁寧な診断と確かな技術、そして何より「患者様に寄り添う姿勢」が必要だと、私たちは考えています。
当院には、今回のように仮歯の段階で不安を抱き、転院されてくる方が多数来院されています。治療途中であっても、「このまま進めて本当に大丈夫?」という疑問を感じたなら、ぜひ一度ご相談ください。私たちは、あなたが「やり直してよかった」と心から思える治療をご提供したいと願っています。
美しさも、健康も、後悔しないために
YASU DENTAL CLINICは、セラミック矯正のやり直し専門クリニックとして、これまで数多くの患者様の笑顔と自信を取り戻してきました。
一時的な美しさではなく、一生寄り添う歯のために。
本来の歯の美しさと健康を取り戻すために。
あなたの「やり直したい」という想いに、全力で応えます。

年代・性別 | 30代女性 |
主訴 | 今の仮歯が不安。綺麗なセラミックが入るとは思えないと転院希望 |
治療内容 | ジルコニアセラミッククラウン、歯冠長延長術 |
費用 | 18万×7(税抜)、20万(税抜) |
期間 | 9ヶ月 |
リスク・副作用 | きちんとした診査診断を行わないと、セラミックの破折や脱離が起こることがあります |
前歯の見た目でお困りの方は、是非一度ご相談下さい。
当院では初診時無料カウンセリングを行っております。
YASU DENTAL CLINIC
〒543-0074
大阪府大阪市天王寺区六万体町5ー18
大阪メトロ谷町線 四天王寺前夕陽ヶ丘駅3番出口直結
監修者情報

松井 泰隆 YASU DENTAL CLINIC 院長
東京歯科大学を卒業後、京都大学医学部附属病院で口腔外科を学び、その後審美歯科やインプラント治療を行う医療法人に勤務し分院長などを歴任。